図書館は2012年の統計によると、日本全国に3,234館存在していて、蔵書数は4億冊以上、年間利用者数はのべ3億万人を越えます。そのイメージは膨大な蔵書を誇り、見渡すかぎりの書棚には本がぎっしりと詰まった“知の宝庫”というものではないでしょうか。しかし、インターネットの普及、そして電子書籍の登場により、図書館はあり方そのものの変容をとげつつあります。

ペーパーレス図書館の誕生

図書館のあり方をめぐる大きな変化は、大学図書館から始まりました。2010年9月、アメリカのテキサス大学サンアントニオ校に、紙の本が1冊もない図書館が誕生しました。Kindleなどの電子書籍リーダーを使って、50万冊以上の電子書籍と約5万種の電子ジャーナルを読むことができます。そして2013年9月、同じ地域に世界初となる完全電子化の公立図書館「Biblio Tech」が誕生。Apple Storeをモチーフにした建物は、閲覧&貸出用の電子書籍端末900台や50台以上のパソコンなどが設置されており、近未来的な空間になっています。

国内でも電子化対応が進む

日本で初めて図書館での電子書籍貸出が始まったのは、東京・千代田区の千代田図書館。サービス開始は、意外にも2007年11月と早い時期でした。そして、それから6年後の2013年10月、学校・公立図書館向けに電子書籍の貸し出しサービスを提供する「日本電子図書館サービス(JDLS)」がついに始動しました。出版社や書店主導での電子図書館用プラットフォームが誕生を受けて、今後電子化対応が加速すると予想されます。

「ツタヤ」が運営する図書館も

2013年、日本の図書館にとって見過ごせない大きな動きがもうひとつありました。佐賀県武雄市にオープンした武雄市図書館、通称「ツタヤ図書館」です。CDや書籍のレンタルショップ「TSUTAYA」を経営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が指定管理者となったこの図書館。代官山蔦屋書店をモデルにしたオシャレな外装や、コーヒーチェーン店「スターバックスコーヒー」の併設などが話題を呼び、目標だった来館者年間50万人は、半年で達成しました。同様の「ツタヤ図書館」は今後、神奈川県海老名市や宮城県多賀城市にもオープン予定となっています。

電子書籍の誕生を受けて、紙とデジタル、図書館と出版社、図書館と民間レンタル企業など、図書館を取り巻く壁が少しずつなくなりつつあります。「本がたくさんある、地方自治体が運営する場所」としての図書館とは違った形の図書館が現れてきたのは、その象徴でしょう。徐々に変化しつつある図書館のあり方そのものに、注目が集まります。

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