急速な都市化により、きれいな飲料水へのアクセスが問題化しているインド。そんな現状を解決するため、クラウドを用いた水の配給システムが広がりをみせています。

貧困地域での深刻な水アクセス問題

8人に1人がきれいな飲料水へのアクセスができていないとも言われるインド。農村部の貧困地域では、女性や子どもが、きれいな水を得るために配給トラックの前で数時間待つという光景も珍しくありません。さらにインドの場合、インフラ問題にはカースト制度も関係しており、「他の居住区にある」という理由で水へのアクセスが困難なケースもあります。このような状況を打開すべく、2008年に設立されたインドのスタートアップ企業であるSarvajal社は、クラウドを取り入れた「水のATM」を普及させるフランチャイズ事業を展開しています。

クラウドが人々への安定した水供給を実現

太陽光で発電し、専用のプリペイドカードをかざすだけで水を受け取ることができるこの装置。浄化装置ごとにATMを設置する以外にも、浄化済みの水を他の設置ポイントから輸送してATMで販売することも可能です。ATMを多くの遠隔地に設置し、継続的な運営を実現するために、Sarvajal社はどのような手法を用いたのでしょうか。

1.フランチャイズでの展開

Sarvajalはこの「水のATM」のフランチャイジーを地域のコミュニティ内のメンバーから採用。Sarvajalが「水のATM」のサービスを提供し、フランチャイジーが導入費を支払って人々への水の販売を行う、というスタイルをとることで、地区内での消費活動を促進するだけでなく、水の輸送を行うドライバーや管理アシスタントといった雇用を生み出しています。

2.クラウドの活用

ATMには水の供給以外にも、クラウドを用いたモニタリング機能も搭載。水質や供給量、不具合の発生状況のほか、エネルギー使用量や村人たちの利用時間帯、需要と供給のバランスといったあらゆるデータをリアルタイムに把握できます。これにより、水の適切な補給や、迅速なメンテナンスが可能となりました。

インドの農村部だけに留まらず、都心部のスラムにも進出し始めたこの「水のATM」。2013年までに総計140台が設置され、日に10万人に対してきれいな飲料水を提供しています。クラウド・コンピューティングというテクノロジーが、人々の生命を日々支えているのです。

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