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瞬く間に広がり、山を丸ごと焼きつくす森林火災。その被害を最小化するために、さまざまなデータを即時に解析するストリーム・コンピューティングが活躍しています。

メリーランドで、森林火災の広がりをシミュレーション

アメリカ・メリーランド州にあるメリーランド大学ボルチモア校は、2009年から、森林火災の広がり方をより正確に予測するシミュレーション研究を行っています。火災が起こる条件は比較的予測しやすいですが、実際に火災が起こってからの予測は困難を極め、被害拡大を食い止める有効な手段にはなっていません。過去に森林火災を経験し、多くの人・ものを失ったメリーランド。同じ事態をこれ以上繰り返さないために、メリーランド大学ボルチモア校が立ち上がったのでした。

火災の迅速かつ高精度な拡散予測を実現する、リアルタイム分析技術

本研究プロジェクト以前の森林火災の分析は、解像度の低い人工衛星の画像と更新頻度の低い天気予報、現場での目撃情報などに頼っていました。これらの情報は包括的なものではなく、それぞれを統合して予測を立てるまでに、多くの時間を要しました。情報の精度と分析速度の改善によって、炎や煙がどう拡散するのかを正確に捉えることが課題となっていました。

この課題に対して、研究資金と分析用サーバーを寄付し、本プロジェクトのサポートを行ったのがIBMでした。このサポートにより、地表、空気中、人工衛星のセンサー、および無人飛行機が提供する大容量のリアルタイムのストリーミング・ビデオを収集できるようになったのです。さらに、IBM InfoSphere Streamsソフトウェアを導入することで、取得したデータを分析し、火災と煙の拡散をより効果的に予測できるようになりました。リアルタイムで得られた情報を即時分析するストリーム・コンピューティング・システムにより、迅速な分析を実現し、森林火災の拡散のより正確な把握と、死者数および物的損害の最小化が達成されたのです。

大気動向のモニタリングで広がる、ストリーム・コンピューティングの可能性

この一連の研究は、地上、空中、人工衛星の多種多様なセンサーから得られるデータを把握・分析するシステムの開発という成果を上げました。このシステムは、変化する天候条件、消防活動、地形情報、および履歴データに基づいて分析を行うため、リアルタイムの予測を立てることができます。このシステム、ストリーム・コンピューティングは、移り変わる情報を瞬時にフィードバックしながら、予測モデルの確度を継続的に改善することができます。今後、火災予測のみならず、気象データを必要とするさまざまな領域で活用されていくことでしょう。

photo:Thinkstock / Getty Images