モバイルオンラインゲームの開発を行うgumiのCEO、國光宏尚氏。高校卒業後に世界を放浪し、29歳で映像制作会社を起業後、2007年にgumiを設立。インターネットとデジタルエンターテインメントの分野で、常に新しい世界を切り開いてきたパイオニアだ。時代の最先端を捉え、加速する時代の先頭に立ち、IT業界を牽引する存在の國光氏から見た、インターネットにおけるビジネス、そしてグローバルで闘うための体制づくりについて伺った。

インターネットの転換期にはモバイルが来ると思っていた

――gumiではスマホ向けのゲームをメインに作っていらっしゃいますが、会社設立当初からゲームを作ろうと思っていたのですか?

國光 いいえ。gumiを立ち上げたのは2007年ですが、そのときは前職(映像制作会社)では難しかった、インターネットを使った新しいエンターテインメントコンテンツを作りたいと思っていました。ちょうど、2007年のSXSW(South by SouthWest)でTwitterが登場したのですが、そのときTwitterはモバイル向きだと思ったんです。まだアメリカでもiPhoneが発売される前で、スマホ、モバイルという概念がありませんでした。そこで、携帯電話版Twitterである「gumi」というサービスを作りました。その後Facebookが登場したのですが、まだパソコンがメインだった。そこで今度は、携帯電話版Facebookを作りました。そのときに、Facebookがオープンプラットフォーム化を提唱していたんです。

今ではオープンプラットフォームは当たり前ですが、当時は革新的なことでした。それまでのWebサービスは、ユーザーを囲い込んで運営側がサービスを提供し、ユーザーは与えられたサービスを使うだけでした。しかし、Facebookがオープンプラットフォーム化を推し進めたことで、ユーザーがおもしろいと思ったものを選べるようになったんです。ここに可能性を感じたんですね。そこで、オープンプラットフォームのSNSを開始しました。まだmixiがオープン化する1年以上前のことです。どこよりも早くオープン化したのですが、誰も自分たち向けにコンテンツを作ってくれない(笑)。結局、コンテンツを自分たちで作っていました。2009年にmixiがオープン化したときに、mixi向けにコンテンツ公開を始め、その後モバゲー、GREEのオープン化に合わせてコンテンツを公開することで、かなり成長することができました。ゲームを始めたのは、モバゲーがオープン化したときくらいからですね。

――ゲームを作るまでにはいろいろな経緯があったわけですね。

國光 僕は、インターネットビジネスを始めるにあたって、ソーシャルとモバイルに注目してきました。当初、インターネットの中心はWebサイトでした。Webサイトがどこにあるのかということをディレクトリで整理したのがYahoo!、Webサイト同士のつながりをページランクにして検索できるようにしたのがGoogle。どちらもWebサイトが中心なんです。

しかし、MySpaceやFacebookなどのSNSは「人」が中心。自分が何をしているのか、自分が誰とつながっているのか、友だちは何をしているのか、友だちはどんな本を読んでいるのか。これがいわゆるソーシャルWebと呼ばれているものです。その転換期には、モバイルが来るはずだとずっと思っていました。そして、前の会社から追いかけてきた新しい時代のエンターテインメントとは何かということ。この3つが重なってきたのが、ちょうど今なのかなと思っています。

高速でPDCAを回すことが成功につながる

――國光さんは、さまざまな試みをして現在のモバイルゲームというコンテンツに辿り着いたわけですが、ライバルも多いジャンルです。その中でgumiならではの戦略はあるのでしょうか。

國光宏尚氏國光 決して場当たり的にゲーム開発を行っているわけではありません。うちのゲームはGREE上で人気になったんですが、一昨年くらいからパズドラ(パズル&ドラゴンズ)を始めとしたネイティブゲームが伸びてきました。ということは、プラットフォームがGREEやモバゲーだけではなく、AppleやGoogleといった世界共通のプラットフォームにも広がったということ。そのような状況になったら、グローバル市場で戦えないといけない。

gumiでは、一昨年からアメリカ、韓国、シンガポール、上海、台湾、インドネシア、パリ、フィリピンに会社を設立しました。グローバルで戦うには、現地に強い人材がいないと勝てないだろうと思って、他社に先んじて海外進出をしています。今、海外の社員と日本の社員数は同じくらい。現在海外売上は40%ほどですが、数カ月以内には国内を抜くのではと予想しています。

――日本のゲーム会社でそれだけ海外に拠点を置いているところはありませんね。

國光 ただ日本で開発したゲームをローカライズして売るだけではなく、それぞれの会社が個別にゲームを制作しています。日本チームの目標は日本で日本人向けにゲームを作ってヒットを出すこと。韓国チームの目標は韓国人向けにゲームを作ってヒットを出すこと。中国、ヨーロッパも同じ目標です。

もちろん、すべて成功しているわけではありません。重要なことは、誰よりも早く挑戦して、誰よりも早く失敗して、誰よりも早く復活すること。かっこよく言えば、PDCAを高速で回すことだと思うんです(笑)。うちが強いところは、失敗して復活してまた挑戦するところ。挑戦していこうという部分が強いところだと思います。

もうひとつ「Think Global、Act Local」という考え方があります。ゲームの場合は、世界観やキャラクターの部分といった本質的な部分は共通化できるところがある。そういう部分は日本でしっかりハンドリングする。しかし、ユーザーサポートやイベント、マーケティング、ブランド戦略、現地社員のマネージメントなどは、各国によって違います。その部分はローカルでやっていかければならない。この両立が、グローバル化には重要だと考えています。

text:三浦一紀

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國光宏尚氏

くにみつ・ひろなお
國光 宏尚

株式会社gumi 代表取締役社長
1974年、兵庫県生まれ。私立岡山高校を卒業後、中国、チベットなどのアジア諸国、北米、中南米など約30カ国を放浪。1996年に中国の復旦大学、2000年に米Santa Monica Collegeに入学。2004年、アットムービーに入社し、同年に取締役に就任。映画・テレビドラマのプロデュース及び新規事業の立ち上げを担当した後、2007年にgumiを創業し、代表取締役に就任。グループ会社株式会社エイリムが開発する「ブレイブフロンティア」のパブリッシュを成功させるなど、世界的な支持を受けるゲームの開発を行っている。


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