携帯電話のブラウザ向けゲームや、スマートフォン対応ゲームアプリの開発を行うgumiのCEO、國光宏尚氏。高校卒業後に世界を放浪し、29歳で映像制作会社を起業後、2007年にgumiを設立。インターネットとデジタルエンターテインメントの分野で、常に新しい世界を切り開いてきたパイオニアだ。時代の最先端を捉え、加速する時代の先頭に立ち、IT業界を牽引する國光氏。後編では、國光氏が今もっとも注目するムーブメント「Internet Of Things」、そしてそんな未来に挑む新世代の起業家が持つべき心構えについて聞いた。

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スマートテレビの登場は大きなビジネスチャンス

――現在、國光さんが注目していることは何でしょうか?

國光 まずひとつが、スマートテレビですね。間違いなく今年後半から来年にかけて、各社がスマートテレビを出してくると思います。スマートテレビはひと言で言うと大きなタブレットです。これまでのテレビは、「テレビ放送が受信できる機械」でした。しかしスマートテレビは、「テレビも見られるインターネット端末」という位置付けになります。

今までのテレビは、あらかじめチャンネルが決まっていて、リモコンのボタンを押せばそのチャンネルに切り替わっていました。しかし、スマートテレビになったらチャンネルという概念はなくなります。各チャンネルがアプリ化され、ユーザーがお気に入りのチャンネルを自由に並べることができるようになるはずです。スマホで、好きなアプリをダウンロードしてホーム画面に並べるのと同じことが、テレビでも行われるようになるわけです。

また、おそらくiOSやAndroidといったOSがベースになるので、スマートテレビ向けのコンテンツは大きなビジネスチャンスになります。我々の領域でいえば、スマートテレビ向けのゲームアプリの開発がそうですよね。スマホのゲームとは根本的に違うゲームになるはずです。コンシューマー向けのゲーム機のビジネスモデルは有料が基本ですが、スマートテレビなら無料のゲームの配信もできる。そうなると、各ゲーム機メーカーは大変な時代を迎えるんじゃないでしょうか。加えて、スマートテレビになれば動画の視聴方法も変わってくると思います。我々としては、ゲームと映像という2つのジャンルがビジネスチャンスというわけです。

Internet of Thingsは「データ集め」をしている段階。その先にビジネスチャンスがある

――Internet of Thingsというムーブメントで、人中心からモノ中心のインターネットになっていくと言われていますが、ここにビジネスチャンスはあるとお考えですか?

國光 今は、世界中の膨大な情報がインターネットに集まっている状態です。TwitterやFacebook、Foursquareなどをみんなが使って、自発的に自分にまつわる情報をアップロードしています。Internet of Thingsはそこを拡張するもの。これまでは、自分でスマホに情報を入力して投稿する必要がありました。しかし、NIKEのFuelbandのように、身に付けているだけで勝手に情報が蓄積されていくものが登場しました。

Internet of Thingsが加速すると、あらゆるものにデータが蓄積されていきます。カーナビならば自分がいつどこに行ったのか、冷蔵庫ならば何を食べたのか、エアコンならばいつ家にいたのか。その人にまつわる情報が圧倒的に集まるようになります。ここから、新しいビジネスが生まれてくる。集めたデータを分析し、それをターゲティングする。Internet of Thingsは、今のところデータ集めの部分をやっているということになります。データがなければ、分析もターゲティングもできませんからね。今後、集めたデータをどう活用するかが、新しいビジネスになると思います。

――若い世代の起業家、または起業を志している人にアドバイスのようなものはありますか?

國光宏尚氏國光 みんな地味ですよね(笑)。業界を根底から変えるような思いがあるかどうかが重要だと思います。僕は、事業はスポーツに近いと思っているんです。野球でもスケートでも、やるからには1位になりたいと思ってがんばっている。

起業家も一緒だと思うんです。自分たちは、デジタル時代のエンターテインメントというジャンルで世界一を取りたいと思っています。自分がもっとこうしたいと思ったところから世の中を変えていく。変えるためにはそのジャンルで1位にならないといけない。世の中をよくしたい、もっとこうあるべきというビジョンを徹底的に考えて、そこから具体的に何をやっていくのかというところに落としていく。最初は小さなアプリ開発かもしれません。でも、そこから世界を変えるというビジョンを持つというところが重要です。

text:三浦一紀

國光宏尚氏

くにみつ・ひろなお
國光 宏尚

株式会社gumi 代表取締役社長
1974年、兵庫県生まれ。私立岡山高校を卒業後、中国、チベットなどのアジア諸国、北米、中南米など約30カ国を放浪。1996年に中国の復旦大学、2000年に米Santa Monica Collegeに入学。2004年、アットムービーに入社し、同年に取締役に就任。映画・テレビドラマのプロデュース及び新規事業の立ち上げを担当した後、2007年にgumiを創業し、代表取締役に就任。グループ会社株式会社エイリムが開発する「ブレイブフロンティア」のパブリッシュを成功させるなど、世界的な支持を受けるゲームの開発を行っている。


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