Garry James G. Arenas氏 CNE1共同創業者 兼 CNE1フィリピン代表(右)
井坂浩章氏 CNE1共同創業者 兼 CNE1日本代表(左)

近年英会話を学ぶ留学先としてフィリピンが注目されている。
フィリピン観光省の調べによると、フィリピン全土には500を超える外国人向け英会話学校がある。フィリピンでは英語が第2公用語で、英語を話す人口は世界でも3番目に多い。アメリカ統治時代の影響が文化面でも色濃く残っており、発音もアジアの中ではアメリカ英語に近く分かりやすいといわれる。国民性も明るく親日的だ。
数ある英会話学校の中でも、創立5年目を迎えたCNE1(Carthel Native English 1 on 1 International Language institute of Carthel Science Educational Foundation inc.)は「スピーキング力」に徹底して重点を置いたマン・ツー・マン授業と、行き届いたきめ細かなサービスで知られる。宣伝をせず口コミだけでこれまでに1,700人超の卒業生を輩出している人気校で、留学費用も、授業料・食費・宿泊費など一切を含めて1カ月十数万円。フィリピン人、日本人、韓国人の理想に燃えた3人の青年が意気投合して共同で起業した活気溢れる語学学校だ。
CNE1では学習効果を上げるために、フィリピン留学中の授業だけでなく、ICTを駆使した留学前・留学後のフォローアップにも万全の態勢を敷いている。さらに将来に向け、英語・IT・雇用促進を一体化した新たな「ITパーク」構想も着々と実現に移しつつある。
5月中旬に来日したフィリピン人経営者のガーリー・ジェームズ・G・アレナス氏と日本人経営者の井坂浩章氏に、CNE1の人気の秘密、日本人と英語、将来構想や夢などについて語ってもらった。

フィリピンは「スタンダード」な英語を維持している

――フィリピンが近年英語の語学留学先として注目されている理由は、どこにあるとお考えですか。

ガーリー・ジェームズ・G.・アレナス氏アレナス 英会話学校を始める時、フィリピンが持つ利点について徹底的に考えました。まずはホスピタリティ、つまり「おもてなし」の心です。これにはキリスト教という宗教的な背景があります。2つ目は人件費や生活費が安いので、低コストで高レベルのサービスを提供できること。
フィリピンでは英語は第2公用語で、発音には一定の基準があり文法も簡易化されているので、非英語圏の人々とコミュニケーションしやすいというメリットがあります。

フィリピン観光省の調べでは、フィリピン全土には500を超える外国人向け英会話学校がありますが、その9割は韓国資本の韓国人向け学校です。韓国は1997年のアジア通貨危機を境に急速にグローバル化を進めたため、ビジネスマンも学生も英語力が必須となりました。そこで欧米への留学だけでなく、フィリピンへの英語留学も急激に盛んになりました。以来韓国人の英語力は飛躍的に向上したといわれます。

日本についても、 政府の統計によると、英語を学ぶためにフィリピンを訪れる日本人は2010年に4,000人でしたが、2013年には2万6,000人に急増しました。このデータから、近年日本でもフィリピンが英語教育にふさわしい場所だと急速に認知されていることが分かると思います。

フィリピンはかつてアメリカの統治下にありました。その後もさまざまな面でアメリカの影響が色濃く残っており、英語のアクセントも他のアジア諸国よりアメリカに近いといわれます。
「アジアの時代」といいますが、一口にアジアといっても、マレーシア、シンガポール、インドなどそれぞれの国で異なる英語が話されています。例えばシンガポール人の英語は早口で、発音が中国語の影響を受けていて非英語圏の外国人には理解しにくいところがあります。インド人の英語も独特な強いアクセントがあります。その点、フィリピンは「スタンダードな英語」を維持しており、非英語圏の人々もコミュニケーションがしやすいというメリットがあります。

――「スタンダードな英語」とは具体的にどういうものなのでしょうか。

アレナス それは比較的訛りが少ない英語で、スラングなどをできるだけ含まず、正式な文法をきちんと使う英語という意味です。フィリピンはそうした英語を守り、小学生の頃から学校で教え、話し、テレビ、ラジオ、新聞、街の看板など身近な情報も「スタンダードな英語」を使って発信しています。特にCNE1の教師たちは、非英語圏の人々に英会話を教えるための訓練をしっかり受けており、そういったスタンダードな英語での授業に徹するように努めています。

1日6~8時間の授業。休み時間もフィリピン人教師とおしゃべり

――CNE1は広告宣伝を行わず、口コミだけで発展してきたと聞きます。教育システムにはどんな特徴があるのでしょうか。

アレナス 授業はマン・ツー・マンで、日常会話やビジネスなどの目的別に1日4時間のメインコースがあり、追加コースも加えると1日最長8時間まで受けることができます。
カリキュラムの目的はスピーキング力を付けること。日本人が英会話力を向上させるコツは、発音や細かい文法の間違いを気にすることより、まずは自分の考えを自信を持って話すことが一番です。ですから教師は「それはどういう意味ですか?」「なぜそう思ったのですか?」「それからどうしましたか?」など、どんどん発言を引き出していきます。個室でのマン・ツー・マン授業ですから、他人の目を気にすることはないし、間違っても気にせず話せます。教師は辛抱強く言葉を待ち、自分の担当する学生さんが次第に英語でのコミュニケーション力を上げていくことに何より喜びを感じています。

全員敷地内にある宿舎に泊まり込む全寮制をとっており、留学期間は最短1週間から最長1年まで柔軟に選択することができます。

CNE1の校舎と授業風景

CNE1の建物は、敷地内のマンゴーの樹を伐採し、アレナス氏や井坂氏を始め、学校のスタッフが専門家とともに力を合わせて完成させた手作り校舎。カラフルな建物が南国フィリピン人の陽気でフレンドリーな国民性を象徴しているようだ。

――その寮には経営陣も教師陣も住み込む、まさに全寮制なんだそうですね。

井坂 そうです。私たち経営陣やフィリピン人教師たちも大半が学校の寮に住み込んでいて、24時間、学生さんたちのニーズにすぐ応えられる体制をとっています。マン・ツー・マンの授業なので、学生さんの定員90名に対し、教師の数も同程度抱えており、事務職員、寮の料理人やガードマンなどを含むスタッフの総数は120名で、学生さんより学校スタッフの方がはるかに多い体制です。ですからサービスも行き届き、皆さんの満足度は大変高いのです。

CNE1のカフェテリアと部屋の様子

ビュッフェ・スタイルのカフェテリア。フィリピン人は生野菜をあまり食べないが、CNE1では日本人学生の希望を取り入れ、サラダやフルーツをいつもふんだんに提供している。(左)(中)
オレンジと白を基調にしたシンプルで明るい1人部屋(スタンダード・ルーム)(右)

アレナス 多くの語学学校は授業時間が終わればそれで終わりですが、当校では授業後も教師たちと友人のように気軽に話をしたり、宿題の相談をしたり、一緒に音楽やスポーツを楽しんだりします。週末の夜には学校のすぐ前にあるたった1軒の居酒屋で、夜遅くまで教師たちと学生さんたちがワイワイ語り合っており、私もよく合流します。そうやって24時間英語に触れられるので進歩が速いのです。その結果、卒業時には皆さん見違えるほどおしゃべりになっていますよ(笑)。

CNE1は、政府高等教育委員会に正式に認可された数少ない学校

――「たった1軒の居酒屋」ということですが、学校の環境はどんな所ですか。

アレナス CNE1はマニラから北に車で約4時間のタルラック州サンマニュエル市ののどかで治安の良い町にあります。周りは田んぼとマンゴーの林といった環境ですから、勉強に集中するには最適です(笑)。もちろん、ちょっとバスに乗れば大きなショッピング・モールなどがあり、何でもそろいますから日常生活に不便はありません。

CNE1の母体は、幼稚園からカレッジ、看護学校までを併設している財団法人Carthel Science Educational Foundationです。医者で総合病院のオーナーでもある私の父が経営している私立の一貫校で、CNE1の校舎もその広大な敷地内にあります。子どもたちが学ぶ学校の敷地内にあるので、ガードマンの数も多く警備も万全で、学生さんが休み時間に子どもたちと会話を楽しんでいる姿もよく見受けられます。

学生さんは日本人が大半ですが、韓国の大学と契約をしているため、夏休みや春休みになると韓国人がどっと増え、ロシア人などもたまに留学してきます。

CNE1は、フィリピン政府高等教育委員会(Commission on Higher Education:CHED) に正式に認可された学校です。500を超えるフィリピンの語学学校の中でも、CHEDの認可を受けているところは、ほとんどありません。

広告宣伝費にお金はかけず、ICTを駆使して低価格を維持

――留学費用がずいぶん格安ですが、なぜ低価格にできるのでしょうか。

井坂浩章氏井坂 目的別のメインコース(4時間)と追加コース(2時間)を4週間受ける場合、4人部屋を利用すると、授業料と宿泊費と食事代の合計で12、3万円程度ですみます。2人部屋や1人部屋はもう少し高くなります。

安くできるのはフィリピンの人件費や生活費が欧米や日本と比べて格段に安いからです。同じマン・ツー・マン授業を欧米先進国で受けたら、授業料だけでこの5、6倍はかかるでしょう。
CNE1は広告宣伝をしない代わり、ICTを活用してツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・メディアに絶えず情報を開示し、学校やそれ以外のさまざまな情報発信をしています。フェイスブックに載せた写真はもう数万点に上っています。

会って2時間で意気投合し「一緒に英語の語学学校を設立しよう!」

――英会話学校の創設に至ったのには、どういう思いや経緯があったのでしょうか。

アレナス 私は16年前にロータリークラブの交換留学生として日本に留学しました。日本語がまったく分からなくて大変なプレッシャーを感じました。言葉が分からないばかりに、自分を表現できないのは苦しいし、相手を理解できないことも苦しい。日本の人々が私に優しく接しようとしてくれているのに、その人たちの言葉が分からないのはとてもつらい経験でした。

このため、いつかこの経験をもとに、日本人とフィリピン人のコミュニケーション向上を図るような仕事をしたいと考えていました。両国にはそれぞれ特長があります。フィリピン人は明るくフレンドリー、日本人はシャイで英語が苦手な人が多いのですが、真面目で優秀な人が多く、物事に対しては徹底的に“カイゼン”する。そうしたお互いの文化の良いところを合わせれば、お互いの国が抱えるさまざまな問題を補完し合い解決できるのではないか。それには、言葉によるコミュニケーションがまずは必要だと思っていました。
そして5年前のある時、たまたま同じ理想を抱いてマニラに留学していた井坂さんに韓国人の友人を通して知り合い、わずか2時間で3人が意気投合して「一緒に英語の語学学校を設立しよう!」ということになったのです。

(編集注)そのいきさつについては下記『無限大』131号に掲載された記事を参照:
http://www-06.ibm.com/ibm/jp/mugendai/no131/pdf/131m.pdf

text:木代泰之

後編はこちらから

ガーリー・ジェームズ・G.・アレナス氏

ガーリー・ジェームズ・G.・アレナス
Garry James G. Arenas

CNE1共同創業者 兼 CNE1フィリピン代表
1983年、フィリピン・ダグパン市生まれ。ファーイースタン大学(フィリピン・マニラ市)で心理学学士号を取得。Specialist Group Hospital and Trauma Centerにて人事担当ディレクター(2004~2010)、Aral政党リスト(政治団体)創立者 兼 議長(2006-2010)、CNE1共同創業者 兼CNE1フィリピン代表(2010~)、Carthel Science Educational Foundation 最高執行責任者(COO)、学生課バイス・プレジデント(2012~)、フィリピン共和国中部ルソン地方タルラック州 国際課ディレクター(2012~)などを歴任(兼任)。

井坂浩章氏

いさか・ひろあき
井坂 浩章

CNE1共同創業者 兼 CNE1日本代表
1973年大阪府堺市生まれ。大学で心理学を専攻。カリフォルニア大学 アーバイン校にて、マーケティング・プロフェッショナル資格認定プログラムを終了。ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、グアテマラ、シンガポール、マレーシア、フィリピンの7カ国に約3年間留学。アジア環太平洋を中心に世界25カ国を旅行。海外生活6年。出版社、IT企業勤務後、CNE1を共同起業(2010~)。


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