東京大学情報学環の河口洋一郎教授――CGアーティストとしても活躍する河口氏は、種子島の特殊な自然環境で生まれ育った。「私たち人類は、いつ絶滅してしまってもおかしくない。私たちが生き残るためにはどうするべきか……」強いサバイバル感覚を常に持ち続け、その危機意識が作品づくりの原動力になっている。
コンピューターが普及した現代、世界は「画一化」へと向かっていると河口氏は指摘する。人々や地域が個性を失う「画一化」の先にあるものは、人類という種の生存能力の衰えであり、その現実に対して警鐘を鳴らす。世界の「画一化」の中で、日本という国がサバイブするためには何が必要なのか、河口教授に伺った。

「いかに生き残るか」というサバイバル感覚

河口教授は種子島で生まれ育った。
日本の他の地域とは違って、種子島には豊かで力強い自然環境があった。

河口洋一郎教授「南から北上してくる黒潮に乗って、ヤシの実が海外から流れてくる。季節の変化にあわせて、野鳥が大移動をする。このような、春夏秋冬を場面場面で切り取ったスタティックな季節観ではなく、自然界のダイナミックな移り変わりが生まれた時から身の回りにあった。生物は常に移動し、変化するという発想が幼い頃からありました」

世界は常に移動しながら無限に変化していくという直観が、河口教授の作品づくりの発想の根源になった。

「芸術において、僕にとっての興味の対象は、いわゆる伝統的な風景画や人物画のような静物描写ではなく、宇宙の構造や自然界のルールの中に隠された“美”にあります」

例えば、銀河系のうずまきや巻貝の螺旋構造。その自然界にある根源的な美こそが興味の対象であったという。「自然界の描写をアートにする」という根源的なテーマをもって、数々のアート作品を作りつづけてきた。

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