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日本の文化の輸出を試みる国策“Cool Japan”。アニメやマンガ、ゲームといったエンターテイメントコンテンツは、海外の一部で熱狂的な人気を博している。その人気を支えている希少なメディアのひとつが「トーキョーオタクモード」だ。
今回はCEOである亀井智英氏に、米ベンチャーキャピタルの500 Statupsに参加した経緯や「トーキョーオタクモード」のビジネスモデル、そして海外を視野に入れたビジネスの展開についてお話を伺った。

前編はこちらから

海外で起業するなら人脈が重要

――2013年に会社組織にするにあたって、アメリカのベンチャーキャピタルである500 Statupsに参加しましたが、そのきっかけはなんでしょうか?

はじめから500 Statupsを狙っていたというわけではなく、偶然の出会いに近いんです。GoogleやFacebookやTwitterなどの本社を訪問しようと思ってサンフランシスコに企業視察に行ったんです。当時日本では、トーキョーオタクモードを法人化したらどうかと言ってくれるエンジェル投資家の方がいたので、その方にサンフランシスコの誰かを紹介してくれとお願いしたら、トーキョーオタクモードに興味があるシリコンバレーのエンジェル投資家の人たちを紹介されました。そのときに、そのエンジェル投資家の人が500 Statupsとつながっているから、ちょっと行ってきたらみたいな感じで紹介してもらったのがきっかけですね。

実際行っても、予備知識がほとんどなく、広いインキュベーション施設でみんな勉強しているなという感じでした。そのとき、トーキョーオタクモードの話をしたら興味を持たれて。代表のデイブ・マクルーアがちょうど僕らが日本に帰る週に日本に来るというので、東京で会ってプレゼンテーションをしました。2013年の2月だったんですけど、4月から500 Statupsに来いと言われ、あわてて会社をやめて渡米して参加しました。狙っていたというわけではなく、流れでたどり着いたという感じですね。

亀井智英氏

でも結果的に500 Statupsに参加してよかったと思います。世界中に投資家がいるので、フランスに行くと言えばうちに泊まりなよとかいってもらえるんです。そこでまた違う人を紹介してもらったりとか。とにかく海外で起業するとなると、人脈が重要です。「何をやっているのか」「誰の知り合いなのか」ということは、数えきれないくらい聞かれました。
トーキョーオタクモードは、海外に人脈がなかったので、MITメディアラボ所長の伊藤穰一さんと元Apple副社長のアンディ・ミラーさんにアドバイザーになってもらって、いろいろな人を紹介してもらいました。僕は、コンテンツを作るということには向いていないんですが、人と人をつなげたりすることは得意なので、その方面でがんばろうと、人脈作り担当になってやっていました。

ブランド価値を上げていろいろなことをしたい

――法人化されてほぼ1年が経過して、軌道に乗ってきたところだと思うのですが、今後の展望をお聞かせください。

亀井 もっとトーキョーオタクモードのブランド自体を強くしていきたいと思っています。現在広告とeコマースで収益を上げているのですが、最終的には価格競争や、即日お届けみたいなサービス競争に加わらなくてはいけなくなる。しかし、トーキョーオタクモードというブランドを強くすれば、価格などに関係なく「トーキョーオタクモードで買いたい」と思ってくれると思うんです。実際、ベトナムのイベントに参加したときは、トーキョーオタクモードのTシャツを来たスタッフが現地を訪れたら、VIP扱いだったそうで、一人だけ王様が座るような椅子を特別に用意されたりしたそうです(笑)。
僕たちはコンテンツメーカーではなくメディアなので、誰かの力を借りないと何も成立しません。「トーキョーオタクモードと組んで何かやりたいね」と、取引先から名前が出るようにブランド価値を上げるというのが、短期的な目標です。

中長期的には、今やっていることとは違うことをやっていきたいという希望があります。今はマンガ・アニメ・ゲームに特化したメディアですが、可能性を限定せずに、トーキョーオタクモードという名前で、いろいろなことができればいいなと思います。

起業したかったらサラリーマンを経験しておくといい

――トーキョーオタクモードの成功により、日本から海外に向けて事業展開をしたいと思う人も増えてきていると思います。そのような人たちに何かアドバイスがあればお願いします。

亀井 最近相談を受けることが多いのですが、サービスがまだ始まっていなくていきなり海外に挑戦したい場合はだいたい止めます。サービスが始まっていてある程度うまく行っていて、海外への興味があるというのならぜひチャレンジしてみたらと答えています。海外の市場は大きい場合が多いですが、その分競争が激しくハングリー精神のある人ばかり。そのなかで戦っていく覚悟があるのなら、ぜひ海外に進出してほしいと思います。
日本は今後、人口が減ってしまうので、日本でのビジネス展開は先が見えています。日本人的な考えだと、まず日本で成功してそのあと海外というのが普通ですが、日本にもたくさんライバルがいるので、であるならば、最初から海外で勝負をするというのもおもしろいと思います。僕らはコンテンツ業界で海外に進出していますが、ヘルスケアでも食でもいいんじゃないでしょうか。

トーキョーオタクモード

それと、起業をしたかったら一度サラリーマンを経験するというのもいいと思います。一昔前は、ベンチャー企業を立ち上げる人といえば、学生か社会人3年目くらいまでの若い人でした。しかし現在は、30代半ばという人が増えているんです。社会人経験が10年あれば、それなりに人脈があり、ビジネスの経験値もある。投資する側からしても、何となく安心感があったりして、大きな投資に繋がる事もあったり。
あと、もうひとつサラリーマンを経験してよかったなと思うことが、辛い経験をたくさんできたことです。先輩から無理難題を押し付けられたり、自分が悪くないのに責任を取らされたり、いろいろ理不尽なことがあったんですが、起業するともっと辛い経験がたくさんあります(笑)。若くして起業すると、起業してからいろいろ辛いことを経験して挫折してしまうこともあると思うんです。でも、サラリーマンはお金をもらいながら辛い経験ができるので、起業する前に会社勤めを経験するというのは、いいことではないかなと感じています。

text:三浦一紀

亀井智英氏

かめい・ともひで
亀井智英

Tokyo Otaku Mode共同創業者/CEO
1977年生まれ、東京都出身。
大学卒業後、サイバー・コミュニケーションズ入社。2004年からNTTアド出向、2008年からCGMマーケティング/デジタルガレージに出向し、CGMメディア立ち上げ広告担当、Twitter日本進出広告展開を推進。2009年から電通デジタルビジネス局に出向、ソーシャルメディア担当を歴任。
2012年4月、Tokyo Otaku Mode Inc.を米国デラウェア州にて創業。同月、米国シードアクセラレーター500 startups プログラムに参加。
トーキョーオタクモード フェイスブックページhttps://www.facebook.com/tokyootakumode


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