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未来からきた男の使命

ジョン・タイターという人物をご存じですか?
2000年11月、米国の大手電子掲示板に突如現れたタイターは、自らを「2036年からきたタイムトラベラーだ」と名乗ります。彼は掲示板で、自分が乗ってきたタイムマシンの仕組みや未来に起こる出来事に関する予言などを語っていたものの、4カ月後の2001年3月に「使命を果たした」といって消息を絶ってしまいました。
このSF小説のような話は、にわかには信じられないかもしれませんが、現実の話です。そのなかで彼が語っていた使命は、「1975年に遡って、コンピューター“IBM5100”を手に入れる」というもの。未来人が欲しがったコンピューターとは、いったいどんなものだったのでしょうか?

一世を風靡した「IBM PC」の母

IBM5100今から40年前の1975年9月に発売されたIBM5100。大きさは当時のIBMタイプライターより少し大きい程度で、重さは50ポンド(およそ25キログラム)。ユーザーの用途に合わせて16KBから最大64KBまでのRAM(コンピューターの記憶装置であるメモリの1種)を搭載、価格は8,975ドルから19,975ドル(日本円で約270万~600万円※当時の為替レート1ドル=300円)というものでした。
現代の基準に照らせば、巨大かつ貧弱極まりないスペックのIBM5100ですが、当時としては革命的な製品でした。なにしろ、1960年代後半に販売されていたコンピューターは、業務用デスク2つ分のサイズ、重量が500キログラムもある代物でした。約5年で20分の1もの小型化を果たし、「コンピューターは一家に1台」の礎を作った同機種は、その後、世界中を席巻することとなる「IBM PC」の母ともいえる存在だったのです。

大ヒットを記録した科学アドベンチャーゲームにも

IBM5100の影響はさまざまな分野にまで及んでいます。2009年に発売され大ヒットし、アニメ・映画・小説など数多くのメディアミックス作品も生んだゲーム「STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)」もその1つ。冒頭で紹介したジョン・タイターの逸話が下敷きになったストーリーには、IBM5100をモデルにしたコンピューターがキーアイテムの1つとして登場します。エンジニアやアナリスト、統計学者のみならず、クリエイターの仕事にまでインスピレーションをもたらす。IBM5100は、そんな稀代の名機なのです。

photo:実機提供 片桐様

 STEINS;GATE 聡明叡智のコグニティブコンピューティング

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