米国では主要な死因の1つとされる、心筋梗塞などの心疾患。5人に1人は、早期発見が難しく肉体的・金銭的な損害が深刻な心不全に至るといわれます。
IBMでは、医師による早期のリスクの発見を促し、またその診断の正確性をより強化するためのツールを2009年から研究開発に取り組んでおり、徐々に実用段階に移行中です。そのツールは、患者の心電図や病歴、投薬などの治療歴と、過去の心臓病罹患者の膨大な情報を組み合わせて、早期に病気の兆候をキャッチしようという試みです。

心疾患におけるビッグデータの可能性

IBMは、心不全による死亡者を減らすために、米国国立衛生研究所から約200万ドルの資金提供を受け、米国の医療研究機関であるガイシンガー・ヘルス・システムと協業して、大量の電子カルテ(EHR)を分析するシステムを開発しました。

EHRデータとは、患者の病歴、投薬やアレルギーなどの情報を含むビッグデータであり、検査結果や診断名を時系列で可視化することで、患者の健康に関する履歴を確認できます。このようなデータを分析することで、医師は、患者の心臓から発せられているシグナルや、身体に起こっている状態をパターン化でき、心不全のリスク軽減に役立つとされています。しかも、患者が治療の方向性を理解することにより、その不安感を払拭させることもできるのです。

研究成果と治療の未来

EHRデータの詳細な分析が可能になったことで、病気の初期段階で心不全の症状を見つけられるようになりました。そして医師は、その症状に向き合っていくために必要な生活や食事習慣についての説明を患者に理解してもらい、患者と共に迅速に行動できる体制を組めるようになったのです。

この研究は他の疾患(癌や糖尿病、アルツハイマー病など)にも適用することができると考えられています。同様のデータの予測分析によって、早期発見と治療への誘導が迅速に行われることが期待されています。

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