“六人のサムライ” イン イスラエル。テルアビブの海岸で日本の若き起業家たちと。(左から3人目が榊原氏)

起業支援の株式会社サムライインキュベート。志の高いシード期の起業家に寄り添い、設立資金の提供から事業化に至るプロセスを徹底してサポートする。2008年の設立からこれまでに、IT関連の事業を中心に約80社の創業に携わってきた。
同社を率いる代表取締役CEOの榊原健太郎氏は、「日本経済を元気にさせるには、起業家を増やし、将来の大企業を創っていく必要がある。日本からGoogleやFacebookのような世界で通用する企業を生み出したい」と語る。
2014年5月、榊原氏は新たな起業支援の新天地を拓くために、”第2のシリコンバレー”といわれるイスラエルへ渡った。海外からの投資を日本に呼び込むため、また、日本の起業家や企業が世界へ羽ばたくための拠点となるべく、現地で新たな一歩を踏み出したのだ。
「憧れは、渋沢栄一。将来の目標はノーベル平和賞」と公言する榊原氏に、起業支援への熱い思いを語ってもらった。

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日本IBMと連携し、ベンチャー支援を開始する

サムライは2014年秋、日本IBMのベンチャー支援プログラム「IBM BlueHub」と連携してベンチャー企業をサポートする事業を始めた。大企業を巻き込むことも、インキュベーターとして重要なテーマだ。

「ベンチャー企業はどれだけ良いアイデアがあっても、それをサービスとして開発し、サービスを拡大させるためのリソース不足が原因となって、その後の発展に苦労するケースが多く見られます。
一方、大手企業は斬新なアイデア・技術、クリエイティブな人材を求め、ベンチャー企業との接点を求めています。このため海外では、ベンチャーと大手企業が提携し、お互いの補完関係としてサービスを拡大していく事例が多くなってきています。

そこで、サムライインキュベートと日本IBMが連携して、スタートアップへの支援をすることになりました。当社がこれまで培ってきたインキュベーション・ツールやノウハウを活用し、日本IBMが豊富な人材やネットワークを通じた支援をすることで、スタートアップのリソース不足を補っていきます」

米国を始めとした海外の大企業はスモール・カンパニーの支援に積極的で、起業家たちが現在何を考え、どういった将来像を描いてビジネスを立ち上げているかをいち早くキャッチし、それを反映させてビジネスを展開している。榊原氏によれば、海外企業はそうした支援にCSR的な視点で取り組んでいる。つまり、すぐに成果を求めるというよりは、起業家を支援することがエコシステムにつながる、それが大企業の務めだ、という文化が出来上がっているのだという。

「同じようなことを日本でもやっていかないと、世界に後れを取ってしまうのではないでしょうか。
結論を言うと、スタートアップと大企業がコラボレーションすることで、世の中を変えるスピードが速くなるということです」

榊原健太郎氏

日本の起業家たちと、テルアビブでデッカイ夢を語り合う。

起業家になるには向き不向きがある

今後は日本でも起業家が増え、大企業もベンチャー精神を取り入れたり、起業家を支援したりという動きが増えていくと期待される。起業家が増えることは、もちろん榊原氏の望むところではあるのだが、単に起業率を上げるという考え方には注文を付けた。

「起業率を上げるというよりは、起業すべき人に起業してもらうことを重視すべきだと思います。日本人は真面目で思いつめてしまいがちなタイプが多い。でも、どちらかというと、起業家は決断力があり、前向きで、明るく、細かいことにいつまでもとらわれていないで、切り替えの早い人のほうが成功しやすい。日本人に多い真面目で思いつめてしまうタイプの人は、オペレーション、運用を細かく着実にやるのが得意なので、そういった人は自分が起業するのではなく、起業が得意な人を見つけたほうがいいように思います。イスラエル人がR&Dを担当して、日本人はマーケティングやオペレーションを担当する会社があってもいいでしょう。
もちろん、日本人の中にも決断力があって、前向きで切り替えの早い明るい人はたくさんいますから、そういった人にはぜひ起業して、海外でも国内でもチームを引っ張って行ってほしいと思います」

高齢化が進む日本では、今後は中高年の起業が増える可能性もある。ところが現状では、ベンチャーキャピタルなどが40歳以上で起業を目指す人に投資する例は少ない。

「まずは支援する側の意識が変わらないとダメだと思います。イスラエルでは60代、70代で起業する人はたくさんいますから、年齢は関係ない。最初から投資家と関係を作っておくとか、いろいろな人を巻き込んでいけば、中高年の人々も十分に起業できると思います。世の中の振れ幅を大きく変えたい、そう考える人が起業すればいいと思います」

「できるかできないか」ではなく、「やるかやらないか」

さまざまな起業支援に携わり、大きな夢に向かって歩き続ける榊原氏。今後どのようなサプライズを起こしてくれるのか、期待は膨らむ。

「最後は教育だと思っています。イスラエルの次は、アフリカとか南米にも行ってみたい。発展途上国を発展させるための教育ができるようなインキュベーターにもなりたい。世界中でたくさん問題が起こっているので、その解決に貢献するとか、困ったところがあれば世界のどこでも行って助けるとか。難しいとは思いますけど、やりたいことは尽きないですね」

サムライの原点は「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」。失敗もたくさんあるだろう。それでも榊原氏は持ち前の度胸とパッションで克服しながら、とことんやり続けるに違いない。

text:渋谷 淳

榊原健太郎氏

さかきばら・けんたろう
榊原健太郎

株式会社サムライインキュベート 代表取締役CEO
1974年愛知県名古屋市生まれ。関西大学社会学部卒業。97年、日本光電工業株式会社 入社。2000年株式会社アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)入社。01年株式会社インピリック電通(現電通ワンダーマン) 入社。02年株式会社アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)復帰。07年 グロービス経営大学院経営研究科入学。08 年株式会社サムライインキュベート設立。主に事業を立ち上げて数カ月以内の、スタートアップといわれるベンチャー起業を包括的に支援する。


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