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行政が市民生活をどう支えているのか、市民からはなかなか分かりづらいものです。一方で行政の側からすると市民の声を逐一取り入れることは困難がつきまといます。
合衆国南東部で最大の人口を誇り、35の行政区を抱えるフロリダ州マイアミ・デイド郡は、IBMが提供するビッグデータ&アナリティクスのソリューションを用いて、市民が暮らしやすく透明性の高い行政を実現しています。

ビッグデータを用いた、行政コスト削減と市民満足度の向上

マイアミ・デイド郡は限られた財源の中で、市民とくに高齢者へ向けたインフラの整備やサービスの拡充に着手するため、市長の強いリーダーシップのもと、煩雑な行政手続きを透明化し、効率化することに取り組みました。

まず IBM Intelligent dashboard を用いて郡内の行政機関が情報を共有。例えば古い水道管からの漏水が見つかると、水道局へのみならず他の部局へも通知され、道路補修など他の工事のスケジュールと調整が図られます。無駄な水の消費は20%減り、工事回数は最小化され、年間100万ドル(約1億円)を他の住民サービスへ振り向けることができました。また、モバイルアプリを通じてリアルタイムに公共交通機関や道路の混雑状況を市民へ開示したり、バスや鉄道の乗客数、混雑のパターンを解析したりすることで、大規模な交通インフラを新設・増設することなく、渋滞発生を抑え、市民の満足度を向上させました。

ビッグデータがもたらす、安全安心な都市づくりと高効率な行政サービス

また、治安の維持・向上には優秀な警察組織が欠かせません。マイアミ・デイド郡では犯罪が起きると、手がかりが少数であっても、関連しそうな事項をシステムが洗い出し、高度な鑑識や捜査に結びつけ、また、他の司法組織とも積極的に情報が共有されます。その結果、人員を増やすことなく、郡警察は検挙率を73%にまで高めることができました。

マイアミ・デイド郡の職員であれば誰もがインターネットを通して各種報告書にアクセスすることができます。役所によくあるたらい回しがなくなることで市民満足度は上がり、郡の職員も担当の垣根を越えて、より短時間でよりよい決定を下すことができます。同時に、行政の透明化を確保するため、郡の全住民300万人は財政の主要指標のみならず詳細な支出の情報にまでアクセスすることが可能です。

このマイアミ・デイド郡の取り組みは、日本を始めとする先進国において、高齢化や財政縮小に悩む地方自治体がいかに持続的に行政サービスのレベルを維持・向上させていくかについてヒントとなるものです。今後の進展が期待されます。

photo:Thinkstock / Getty Images

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