ネット販売の拡大から業績が落ち込む店舗販売。これを打開して顧客を店舗に呼びこむため、ユーザーデータから個人個人に合わせた店舗サービスを提供する仕組みを、クラウドファウンディングベースのベンチャー企業eyeQ社が同名の製品とIBMのクラウド技術を使って実現しました。

ソーシャル時代のショッピング

TwitterやFacebook、価格評価サイトの発達など、商品情報はネット上に溢れています。なにか買いたいと思った時、今や多くの人々はネットで必要な情報を自分で集めて購入決定を行っています。実店舗に向かったとしても、ネットではわからない、写真では気づかない部分を確認するだけで、実際には値段の安いネットストアで購入する、という行動も多く見られます。

ショールーム的な扱いになりつつある実店舗型販売ですが、商品を手にとって確かめ、すぐに持ち帰ることができる利点は魅力的です。この利点を活かし、ネットでは味わえないショッピングエクスペリエンスを提供するためのカギは、店内で取得できる膨大なユーザーデータにありました。

あなただけの“コンシェルジュ”データ

店舗に訪れるだけで自分が必要な物や、漠然と欲しいと思っていた商品の情報を示し、勧めてくれるとしたら、買い物の手間がかなり省けることでしょう。スマホで調べる時間や、店内を右往左往する時間を必要とせず、スムーズな買い物を体験できます。

eyeQ社が製造する同名の製品は、顧客個人個人に合わせた“コンシェルジュ”サービスを可能にして、ショッピングのスムーズさだけでなく、満足度を向上させることができます。一見、薄型テレビのように見えるこの製品は、オンボードカメラで顧客の年齢や性別を認識し、店内に設置されたビデオカメラなどから店内での移動場所や手にとったものといった、ショッピングデータをクラウド上で取得します。
そして顧客の年代や性別によってカテゴライズされたデータに基づいて解析することで、嗜好や興味、購買傾向に合わせた情報をディスプレイ上に表示します。タッチパネルとなっているディスプレイを操作することで、顧客は表示された商品の詳細や店内の場所、在庫情報までを知ることができます。

まさにeyeQが顧客の隠された要望に答える“コンシェルジュ”となって、店舗販売の魅力を拡大するのです。また、このサービスで蓄積されたデータから顧客のパーソナリティを把握することで、販売店側にとっても人員配置と顧客の動線を最適化し、返品頻度を減少させ、顧客満足度と信頼感の向上につながります。

eyeQを導入したBRICK & MORTARストアではなんと、1000%もの顧客エンゲージメントの増加、eyeQの補助で全体の14%の顧客は商品購入を決定、ロイヤルティーは9%増加とすばらしい成果をあげています。これからの実店舗型販売には、eyeQのような顧客の要望をとらえて、必要なデータを示すコンシェルジュのようなデバイスが必要なのかもしれません。

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