経済成長著しいインドですが、支店やATMの不足などもあり、多くの人々が銀行を利用できない状況が続いていました。そこで2011年、ING バイシャ(ING Vysya)銀行※はそのような人々へ向け、モバイル・デバイスからアクセスできるモバイル・バンキング・アプリを開発しました。そのおかげで、銀行を使えなかった人たちも、安心して預金や決済などの銀行サービスを利用できるようになったのです。

※現在はKotak Mahindra Bank

モバイル・バンキング先進国インド

インドは、世界でもっともモバイル・バンキングを利用している国となりました。潜在的な銀行への需要があったためか、2012年の世界的な調査報告によると、インドでは76%の人が過去6ヶ月の間にモバイル・バンキングを利用している、と回答しています。同調査では、全体平均が35%、アメリカが38%、イギリスが31%だったということを鑑みると、インドの利用率の高さが浮き彫りになります。

インドにおけるNo1バンキング・サービスプロバイダーであるINGバイシャ銀行は、インドで長い歴史を誇り、また、インドの350以上の都市で530を超える支店を展開する銀行です。なぜ、これだけの支店を持ち利便性も高い銀行が、モバイル・バンキングに目をつけたのでしょうか?

応答の速さが支えるビジネスチャンス

それは、新規顧客獲得という目的があったのは確かですが、それ以上に、モバイル・バンキングには、既存顧客へのサービスを改善する可能性があったからです。その可能性とは、”スピード”。手持ちのモバイル・デバイスを使って、本来であれば、銀行へ行かなければならない各種手続きがその場でできれば、顧客が銀行とのやりとりに費やす時間は大幅に短縮できます。

そのためにINGバイシャ銀行は、IBM MobileFirstソリューションのキー・プラットフォーム、IBM MobileFirst Platform Foundationを用いて、各種スマートフォンやタブレット、OSに対応したモバイル・バンキング・アプリケーションを開発しました。このアプリを使えば、これまでATMや銀行へ行く必要のあった公共料金の支払いや別の口座への資金移動、明細書の確認、小切手の手続きといった数々のサービスを、モバイル・デバイスからすぐに行うことができるようになったのです。銀行やATMから出金したい場合でも、最寄りのATMや支店をアプリが教えてくれます。

この”スピード”の恩恵は顧客にとどまりません。銀行側にとっても、モバイル・アプリケーションを使うことによって、生産性の改善やカスタマー・サービス向上のためのサポートが得られているのです。

インドでのモバイル・バンキングは、今 やカスタマーサービスにとって重要なプラットフォームになっています。このようなモバイル・ベースのサービスの普及は、今まで対面が基本だった銀行のサービスに転換をもたらすものかもしれません。

photo:Thinkstock / Getty Images