ビッグデータ解析がもたらす、ごみ焼却発電プラントの自動化―日立造船とIBMの取り組み

日々、家庭や会社から出るごみ。このごみを燃やして発電する「ごみ焼却発電」をご存じでしょうか。2012年の環境省の調査によれば、その総発電量は、約227万世帯分の年間電力使用量に相当するほど。従来のエネルギーから再生可能エネルギーへの転換が求められている今、注目のエネルギー源です。
そのような中、ごみ焼却発電プラントを運営している日立造船株式会社(以下日立造船)は、日本IBMと協力し、最適運転管理システムの構築に関する取組みを開始しました。

次世代を担う発電施設の効率化

現在日本全国では約300ほどの、ごみ焼却発電プラントが稼働しており、日立造船は、そのうち約65プラントを運転しています。
日立造船は、これまで遠隔操作でプラントを監視・管理してきましたが、一層の効率化を進めるために、「燃焼の異常検知」と「燃焼の安定・最適燃焼値の導出」という2つの課題を設定。10年以上にわたって複数プラントで蓄積してきたビッグデータを活用してこれらの課題を解決し、それを通じて、最適運転管理システムの構築を進めていこうと考えているのです。

そこで、日立造船が導入したのが、設備や機器などから得られるビッグデータを解析してトラブルの予兆を検知し、品質やサービスなどの最適化を支援するソリューション、IBMの「PAO」です。ではPAOを導入することで、どのようなことが実現できるのでしょうか。

ビッグデータ解析によって得られる成果

まず「燃焼の異常検知」については、現在は熟練オペレーターが監視システムの画面を見て異常発生の有無とその対処法を判断していますが、PAOによって蒸気量、炉内温度、ごみ投入量などのデータを分析することで、人間が感知する以前に異常を検知できるか検証しています。
また「燃焼の安定・最適燃焼値の導出」では、排ガスやダイオキシンなどの有害物質の発生を抑えながら、最も効率的かつ安定的に燃焼する条件を検出。さらに10分~30分程度先の燃焼パターンの予測の実現も目指しています。

さらに日立造船は、最適運転管理システムの構築の先に、発電所運転の完全自動化も視野に入れているのです。

日本は、欧米に比べてごみの焼却率が圧倒的に高いと言われており、そのときに発生するエネルギーを有効活用しようというのは自然な流れであり、環境省もごみ焼却発電を後押ししています。
自分の出すごみが無人の発電所でエネルギーに変わり、いつの間にか日本のエネルギー問題の解決の一助になっている。そんな日も、近い将来に実現しそうです。

photo:Thinkstock / Getty Images

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