見せるブランドから語りかけるブランドへ―パーソナライズしたメッセージが起こすマーケティングの革新

パーソナル化する広告

2014年、日本の総広告費はリーマン・ショック後、初めて6兆円を超えましたが、その中でも注目されたのが、初めて1兆円を超えたインターネット広告です。金額はもとより、話題となったのはその成長率。インターネット広告は年10%程度の成長を遂げており、広告の中でもオンラインが占める比重はどんどん高まっているのです。

その成長の背景には、スマートフォンやタブレットの普及によるインターネットアクセスの増大。そして、その結果である膨大な履歴データの発生と、その活用が可能になったことがあります。インターネット広告黎明期にはそれまでのオフライン広告と同じく万人向けの広告を打っていたのに対し、現在では各種履歴データの活用や解析により、ユーザーの嗜好に合わせたパーソナライズされた広告が主流となりつつあります。そして、その効果がクライアント企業に認識されていることが、オンライン広告の成長のひとつの要素をなっているのです。

Facebookの持つ膨大なユーザー情報を利用可能に

世界的なブランド企業もこの広告手法に注目しており、製品へのロイヤリティーを向上させるためには印象深くパーソナライズされた体験を提供する必要があると考えています。

そのようなニーズに応えるため、IBMはこのほど、Facebookと協業し、適切なターゲットに最適なタイミングで適切なメッセージを送ることができるマーケティング機能を、世界的なブランドを持つ企業に向けて提供することを発表しました。
IBMのマーケティングクラウドによるデータ分析とFacebookの持つ強力な広告機能の併用することで、企業はFacebook内の14億4000万人のユーザーの中からターゲットとなる顧客を見つけ出し、より魅力的なメッセージを顧客に提供できるようになるのです。

たとえば、新しいランニング用グッズの販売を開始しようという企業であれば、この協業は次のような内容になるでしょう。
まず、Facebookの機能を活用して、長距離ランニングに関心を持つ顧客グループを抽出します。そして、IBMのデータ分析を活用して、対象となる顧客のランニング・グッズの好みに関する情報を収集・分析することで、住んでいる場所の気候に適したウェアを紹介するなど、顧客にパーソナライズされた提案ができるようになるのです。

IBM Commerce担当ゼネラル・マネージャーであるディーパック・アドバニは、次のように述べています。
「この協業を通じて、コンシューマー向け製品を扱う企業と小売業者は、顧客が何を求めているかについて、より深い洞察を簡単かつ迅速に得ることができるようになります。実世界と仮想空間の間に存在していた隔たりを埋める、魅力的な体験を顧客に提供できるようになったのです」

ブランド企業が、顧客自身が気づかずにいるニーズを見つけ出し、自ら積極的に語りかけていく――。消費者にとって、ブランド企業はより身近な存在になっていきそうです。

photo:Thinkstock / Getty Images