2011年8月、地球上の自動車数は10億台を突破しました。もはや人間の生活に欠かせない移動手段となった自動車。21世紀の自動車は、移動の用途に留まらず、自動“データ収集”車としても進化を遂げています。「1台の自動車から年間で得られるデータ は、1,400ドルの価値がある」という調査結果を示す企業すらあります。
ただし、収集されただけのデータには何の価値もありません。大切なことは、自動車が収集する膨大なデータを利用して、よりよい未来をつくりだすこと。現在行われている自動車とビッグデータを用いた研究開発の成果から、創造/想像できる未来を2つ考えてみました。

1. さらなるドライブ経験の向上をもたらす「テレマティクス」

テレマティクス(Telematics)とは、通信を表すテレコミュニケーション(Telecommunication)と、情報科学を表すインフォマティクス(Informatics)を掛け合わせたキーワードで、自動車や輸送車両などに、携帯電話などの移動通信システムを搭載し、サービスを提供すること。これを用いることで、走行付近の渋滞情報やイベント情報、気象情報に道路の工事状況情報などが取得され、最適なルート表示が可能です。
それだけだと従来のカーナビゲーションシステムでも可能な印象を持つでしょうが、テレマティクスはより高度な機能を実現します。たとえば近年では、SNS上でのポジティブ/ネガティブな言葉を抽出し、デモや暴動などをあらかじめ避けるためのルート提示も研究されているそう。渋滞の緩和やより良いドライブコースの推奨など、一層のドライブ経験の向上が期待されます。

2. 人間ではなくデータが操縦する、安全・安心のData-Driven Car

自動車が人間の操縦するものである限り、ヒューマン・エラーからは逃れられません。しかし、信号の色や人間の有無、車間距離といったような、膨大な周囲の環境情報を絶えず取得し、それらを適切に解析することで、車間の自動制御や車線逸脱の防止が可能となります。とりわけ、近年注目を集める、人間がそもそも運転する必要がない自律走行車は、ビッグデータを活用して安全・安心を追求した究極の形といえるでしょう。

ご紹介した2つの未来。それを実現する技術の一部は、既に実装段階へと進みつつあります。自動車を用いた、より広範なデータ取得とより高度なデータ処理、そしてそれを適切に解釈し応用する人間。それぞれがお互いを高め合っていけば、目指す未来への距離は、そんなに遠くないのかも知れません。