災害時の混乱が招く対応の遅れ

2011年の東日本大震災では、官民の災害対策についてさまざまな課題が浮かび上がりました。なかでも、地方自治体の庁舎自体が被災したために、通信途絶や職員の不足による行政機能不全が発生。そのため被害規模の把握や報告・発信が困難になり、各機関との連携が取れず対応の遅れを招いてしまったことも大きな課題のひとつです。

この教訓を踏まえ、多くの自治体では、総合的な防災体制の強化に取り組んできました。しかし、今後発生が予想される首都直下型地震等の災害に備えるためには、さらなる体制の充実・強化を図る必要があります。そのような中、埼玉県越谷市が日本IBMと進めているのが、早期に「被害の全体像の把握」と「各種応急対策」を実施するシステムの構築です。

有事の情報を一元管理するシステム

現在、クラウド環境によって構築が進んでいるこの「越谷市災害情報管理システム」は、避難所などの施設データや災害発生時の被害状況、Jアラート(全国瞬時警報システム)からの緊急情報や職員の安否確認情報、避難所や災害現場から送られる情報といった様々なデータを集約し、電子地図上に統合して表示するものです。これによって、被害の把握と行政機能の確認に必要な情報を集約し、全庁的に共有可能にすることで、災害対策本部での意思決定や災害現場での対応を迅速化させることができるのです。

さらに住民への情報伝達の手段も整備しました。越谷市公式ホームページや越谷Cityメール、ソーシャル・メディアなどと連携させ、タブレットやスマートフォンのような端末など様々な方法で情報を提供可能になります。

地震や河川の氾濫など、天災の発生は避けることはできませんが、被害を最小限に抑えることは可能です。
この「越谷市災害情報管理システム」は、2016年2月の稼働開始を予定していますが、住民の生命と財産を守る対策が、より多くの自治体で進むことが期待されます。

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