バーチャルな試乗体験がビジネスを拡張する

バーチャル技術が変えていく現実

バーチャルエクスペリエンスという耳慣れない言葉が少しずつ世の中に浸透してきています。

バーチャルエクスペリエンスとは、VR技術を使った新しい体験のこと。VRはVirtual Reality(バーチャル・リアリティ)の略式名称で、日本語では「仮想現実」と呼ばれているものです。コンピュータグラフィクスや音響効果を組み合わせて、あたかも現実のことのように体験できるのが特徴です。

最近では、エンターテイメント分野のゲームや映画などの分野でも、VR技術を利用することであたかも目の前に存在しているような迫力のあるコンテンツが多く生まれています。

IBMが提供する新しいソリューション

そんな中、IBMではジャガーランドローバー社に、バーチャルエクスペリエンスを活用したICE(Intelligent Commerce Experience)というまったく新しい顧客管理ソリューションを提供しています。このソリューションを活用すれば、データの「視覚化」「個客化」「情報化」により顧客1人ひとりのニーズに答え、購買を促すことが可能になります。

たとえば新型のスポーツカーが発売されたとします。しかし発売直後であれば、生産台数が限られディーラーの実店舗には展示車がほとんどないことも……。そのようなとき、VR技術を使った試乗体験を利用することで、このような問題は一気に解決できます。

まず、クルマを買いたいと思ったユーザーは、PCから新型車の仕様を選び、好みのカスタマイズを行います。そしてその設定をQRコードに変換し、販売店でそのQRコードをスキャンすることで、自分好みの車が3D仮想のアプリケーションによって目の前に現れます。ボディカラーやホイール、その他のオプションなどをバーチャル画面上で自由に変更することができ、より良い試乗体験が可能となりました。

これらの技術は高級車の購入を検討している人にとって効果的なバーチャルエクスペリエンスとなることはもちろんですが、自動車メーカーや販売店においても数多くのメリットがあります。

人口動勢や世界中の顧客情報、嗜好や選択を分析した結果に基づき、次の購買行動へと促すコンテンツを配信することができます。そして、そのコンテンツに基づき顧客はさらに製品知識を深め、自分仕様のクルマを作り上げることが可能です。

さらに、販売員は顧客体験リポートを取得し、見込み客との成約に向けた最適なアクションへの指針を受け取ることができ、解析データを駆使した効果的な集客が可能になります。

バーチャル技術によってユーザーに新たな体験を与え、それらのデータを活用してマーケティングに生かすという手法は、自動車業界のみならず、今後他の分野でも大いに活用されていくことでしょう。

photo:Thinkstock / Getty Images