ビッグデータで精神疾患の兆候を発見する

人は、物事を理解したり把握したりするとき、過去の経験に基づいて、何らかのパターンにあてはめる傾向があります。例えばフランスの数学者のBenoit Mandelbrotは、1975年にフラクタルというパターンを自然界の中から発見し、今日に残してくれました。そして、現在では、コンピューター・システムやアルゴリズムは、ビッグデータからパターンを発見しています。

IBM Researchのレポートによると、医療の世界も同様に、さまざまな疾患のパターンがあり、現在では、ビッグデータによって精神疾患の兆候も発見できることがわかってきました。

データで患者の心を解析する

精神疾患の予備軍と呼ばれる人の症状には、妄想、幻覚、まとまりのない思考などがあります。精神疾患であるとみなすには、それらの症状が最低でも1ヶ月以上続き、生活に悪影響を及ぼしていることが示されなければいけません。しかし患者本人や家族にとって、その症状を医師に説明することは難しいものです。IBMの研究開発したシステムでは、そのような手続きを経ずとも、該当患者のインタビューにそのままデータ解析することで、判断しにくい症状でも発見できるようになりました。

不自然な言い回しを判別

IBMのシステムによるセラピーは、通常のセラピーに取り入れられている方法とは異なり、患者がより自然な状態で自分自身について話ができるように、自由回答式の質問とし、どんな回答をしようともすべて記録します。このような“フリースピーチ”という形での患者へのアプローチを採用することによって、患者が普段の状態と異なる単語選びや言い回しをした場合、システムが即座に判別することができるようになりました。

将来的にはこのシステムを利用し、臨床医が患者の書いた文章やソーシャルメディアなどの情報を取り入れられるようになると、精神疾患が発症する前に予測することができるようになると考えられています。

ビッグデータで精神疾患のパターンを研究し、発症を予防することができる時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。

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