私達の生活に「水」が欠かせないものであることは言うまでもありませんが、現代社会は、経済発展の裏で起こる公害、水質汚染問題、エルニーニョなどの影響による水不足など、水資源が抱える問題を真剣に考慮しなければならない時代でもあります。

「水」の状況を予測する3Dツールを開発

IBMは、こうした況を踏まえて、地球物理学の一分野である流体力学をベースに、「水」の状況を予測して3Dで情報提供するツールIBM DeepCurrentを開発しました。このツールは、水の流れや、気温、塩分濃度および栄養素濃度の変動のシミュレーションを可能にし、ブイからタグ付きの魚まであらゆるものに取りつけられたセンサーから得られた海岸線の水深データから3Dモデルを作り出し、海水の流出や外来種の浸入などの予測をします。こうした情報は、海洋監視の正確性の改善などの水資源管理に役立てることができます。

洪水などの環境問題にも

アイルランドのゴールウェー湾は、音楽や映画などでたびたび引用される人気のスポットですが、公害や洪水といった環境問題に直面しています。IBMの環境解析の研究員であるEmanuele Ragnoli氏は、湾内に流れる海流の力を研究するために、IBM DeepCurrentの予測データとモデリングの適用、淡水の放出と海流の相互作用の発見、海流のレーダー画像の統合、さらに風力による海流のモニタリングもしています。3Dモデルによって、支流から湾までのあらゆるものに気象情報がどのように影響するのか、栄養素や汚染物質は海水によって湾内にどのように拡散しているのかを見ることができます。

他にも、IBM DeepCurrent の研究員は2012年10月に米国で発生した大型ハリケーン「サンディ」がチェサピーク湾に及ぼした影響も調査しました。IBM DeepCurrentのデータを駆使して、ハリケーンが移動している間の水位上昇の変化を再生した際も、チェサピーク湾付近の被害状況のデータと照合すると、IBM DeepCurrentによる再現データの正確さを実証することができました。

海水だけでなく淡水も調査を行う

IBM DeepCurrentを活用する取り組みは、海水資源に限りません。“米国の湖の女王”と称されるジョージ湖では、塩、藻、外来種の脅威に対して、レンセラー工科大学およびFUND for Lake Georgeとのジョイントプロジェクト「IBM Jefferson Project」で、海水流出の循環を研究し、冬期の道路凍結防止を支援しています。

このように、環境破壊につながってしまうような水害の予防や、水資源の監視や予測という様々な取り組みがIBM DeepCurrentを活用することによって広まっています。

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