コグニティブ・コンピューティングが、シリアスゲームの新たな扉を開く

「シリアスゲーム」という言葉をご存じですか?

シリアスゲームとは、社会問題の解決を主な目的として開発されるコンピュータ・ゲームの総称です。「ゲームといえばエンターテインメント」というイメージを持たれるかもしれませんが、シリアスゲームはエンターテインメント性だけを追求するのではなく、医療や福祉、教育、軍事などに関わるシリアスな問題の解決に、ゲームを通じて取り組んでいくことを目指します。

シリアスゲームは2002年頃から可能性が指摘され始め、欧米を中心に研究が進められてきました。

特に、オランダは国を挙げてシリアスゲームに取り組んでいて、ランジ・シリアス・ゲーム社の「シャークワールド」など、世界的にも評価の高いコンテンツが開発されています。また、米国ではIBM社により、2010年に「CityOne」というシリアスゲームがリリースされました。

教育の現場で生きるシリアスゲーム・ラーニング

昨今では、シリアスゲームを教育の現場で活用しようという動きも活発化してきています。

たとえば、テキサス州ノース・オースティンの問題を抱えている生徒のための高校において、ゲーム設計について教えているDavid Conover氏は、生徒たちが小児肥満や持続可能エネルギー、健康問題を扱ったゲームなどのシリアスなトピックに親しむための手段として、ゲームベース・ラーニングの手法を採用しています。シリアスゲームの設計に関わることで、生徒たちが複雑な社会問題に関する知識や理解を獲得できるといいます。

Conover氏のクラスでは、生徒たちはゲーム設計の過程でIBM Watsonを利用することができます。

開発するゲームとWatson Discovery Advisor とを連携させて質問に対する問いを引き出したり、IBM Bluemixを利用して、医療や健康に関する複雑な問題を解決するためにコグニティブ・コンピューティングを利用したりすることも可能です。

生徒たちが数学や科学、薬学、コグニティブ・サイエンスといったさまざまな分野に関心を抱き、それを将来のキャリアにつなげていけるような機会を早いうちから与えることが重要であると、Conover氏は指摘しています。

シリアスゲームとコグニティブ・コンピューティングが出合う時

2016年現在、ここ日本におけるシリアスゲームの市場は欧米に比べていまひとつり上がりに欠ける感が否めませんが、大学や非営利団体など、いくつかの団体が意欲的に普及啓発活動を行っています。

コンピュータ・ゲームを通じて社会問題の解決を目指すというアプローチそれ自体は、非常に有益で効果的なものだと言ってよいでしょう。コグニティブ・コンピューティングや機械学習といった最新の技術と出会うことで、今後、日本のシリアスゲーム市場においても新たな展開が期待できるかもしれません。

photo:Thinkstock / Getty Images

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