IoTの活用でパーキンソン病ケアに新たな光

パーキンソン病はイギリス人の医師によってはじめて報告された難病の一つです。脳内の神経伝達に必要なドーパミンが著しく減少することにより手足の震えや筋肉のこわばり、バランス感覚の低下といった症状が現れ、スムーズに動くことが徐々に難しくなっていきます。一般的には高齢者に多い病気で、日本においても高齢社会の到来により、ますます患者数が増えることが予想されています。

パーキンソン病のケアに求められる、きめ細かい観察と適切な判断

パーキンソン病が発症する根本的な原因はいまだ明確に特定されておらず、根治するための決定的な方法も現在のところは見つかっていません。そのため、治療においては投薬、リハビリなどによる対症療法によって症状を緩和するのが一般的です。

パーキンソン病の投薬治療は、医師による継続的かつ慎重な経過観察の下に行われます。患者の病状や薬の効き具合などを日々チェックし、状況に応じて投薬計画書を調整する必要があるためです。

病状のモニタリングは、従来、病院の臨床医による直接の観察、患者や介護士からの申告に基づいて行われてきましたが、こうした状況を技術の力で劇的に改善できる可能性が見えてきました。

IoT技術で広がる、パーキンソン病ケアの新たな可能性

こうした課題を解決するため、IoT技術をパーキンソン病のケアに活用しようという動きが起こりつつあります。製薬会社のファイザー社(以下、ファイザー)は、パーキンソン病などの神経疾患治療に変革をもたらすべく、IBMと連携して最新のIoT技術を応用した新しい取り組みに着手しました。

例えば、ウェアラブルコンピューターを用いて、会話中の言葉の震えや話し方の変化を特定することができたら…。こうした情報をリアルタイムに得ることができれば、医師や研究者は患者により良いケアを提供できるようになるはずです。

IoT技術には、医療の現場を大きく改善できる可能性が秘められています。「ファイザーとIBMが共に作り上げる新しい技術を、世界に発表する日が待ち遠しい」。ファイザー副社長のピーター・ベルゲソン医学博士は、渾身の作品を世に発表する芸術家のような気持ちで、そう語っています。

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