より快適な老後へ!高齢者支援に発揮されるテクノロジーのチカラ

長寿と引き換えに得た「課題」

現代に生きる私たちは、医療技術の発達により古代の人々がうらやむほど長い人生を手に入れました。しかし、獲得した長い寿命と引き換えに、新たな課題に直面しています。

一例として、老齢人口の増加による医療費の増大や介護士の深刻な不足は、高齢化社会ならではの重大な課題の一つです。米国で行われた統計によれば、全世界人口に対して60歳以上の人が占める割合は、2016年現在の時点で12%、2050年までにはこれが22%に拡大すると推測されています。

コグニティブ・コンピューティングで高齢者の暮らしを支援する

そうした中、テクノロジーを駆使して高齢者を支援するさまざまな試みが活発化しつつあります。

例えば、IBMは音声分析の分野において、音声パターンの変化を認知症診断の精度向上に役立てる道を模索しています。また、高齢者の住む家にセンサーを設置してリアルタイムにモニターし、どの部屋で何時間過ごし、日々の生活をどのようなパターンで送っているのかを把握する研究も行っています。こうした情報は、医師や介護者、社会サービスを手掛ける企業にとって非常に有用なデータとなります。

今やすっかり身近になったスマホアプリは、高齢者が家族や友人・知人といった周囲の人々との「つながり」を保つのに役立つほか、服薬や健康のための運動に取り組む時間をスマホのアラームで通知するといった形で、年齢による記憶力の衰えを補完することもできます。

また、コグニティブ・コンピューティングのテクノロジーを用いて高齢者の生活環境や嗜好などを把握・分析することで、高齢者にとってより暮らしやすい社会を実現するためのヒントが得られるかもしれません。

老化によって体が衰えていくのは、決して喜ばしいことではありません。しかし、老いてゆく中でその時々の自身の能力を正しく把握し、テクノロジーの助けを借りて生きる術を手に入れることができれば、今後、さらに長くなっていく老後の時間を有意義に過ごせるのではないでしょうか。

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