セサミストリートが切り開く、次世代幼児教育

人間の脳が最も発達する時期は5歳までとされていることから(*1)、幼児教育はその後の学習と発達のために非常に重要な役割を果たします。中でも、幼児教育のうち最も身近なものといえば、日々、テレビで放送される教育番組ではないでしょうか。1969年にアメリカで放送が始まったセサミストリートも、数多くのユニークなキャラクターを通じて、世界中の子供たちに学習の機会を届けてきました。現在、そんなセサミストリートが、最新のコグニティブ・コンピューティングとの連携により、幼児教育の世界に新たな局面を切り開こうとしています。

セサミストリートとIBMが作り出す新たな学習体験

2016年5月2日、Sesame WorkshopとIBMは、全世界の幼児教育の進化を支援するために協力することを発表しました。

Sesame Workshopはセサミストリートを制作する非営利教育組織で、今回の提携では同組織が45年以上にわたる調査・研究を通して蓄積してきた専門知識を提供します。これをIBM Watson(以下、Watson)の自然言語処理、パターン認識、その他のコグニティブ・コンピューティング・テクノロジーと組み合わせることで、一人ひとりの幼児に合わせた学習体験の創造を目指そうという試みです。

エルモとWatsonが手をつなぐ時

Sesame WorkshopのCEOであるジェフリー・D・ダン氏は、次のように述べています。

「一昔前、セサミストリートはテレビで常に放映され、学習機会に恵まれない弱い立場の子供たちを支援してきました。現在、IBMおよびWatsonと連携することで、一人一人に合った次世代の学習ツールの開発を検討しています。最終的な目標は、あらゆる社会経済的な背景を持つ子供たちに、有意義でパーソナライズされた教育を、最も発達する時期に提供することです」

Sesame WorkshopとIBMは、Watsonの技術を活用した、さまざまな種類の対話型プラットフォームやインターフェースについて検討しています。かつて、セサミストリートの創設者がさまざまな分野の専門家を集めて番組の構想作りに役立てたように、今回も教師、学者、研究者、技術者、ゲーム愛好家、役者、メディアの幹部などから人材を集め、ブレーンストーミングを実施。彼らとともにプロトタイプをテストして共有し、そこから得られたフィードバックや各分野の専門的知識を積み重ねながら、継続的にプログラムを調整していく予定です。

テレビでおなじみのエルモやクッキーモンスターと、コグニティブ・コンピューティングの粋を集めたWatsonの共演。そこには、どんな新しい世界が待っているのでしょうか?

出典:
* Shonkoff, J. P., Phillips, D. A., & National Research Council (U.S.). (2000). From neurons to neighborhoods: The science of early child development. Washington, D.C: National Academy Press

photo:Thinkstock / Getty Images

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