性別の壁を乗り越えた企業のあるべき姿

「十人十色」という言葉があるように、人が10人集まれば10通りの個性が存在します。そんな多様性(ダイバーシティ)に価値があるからこそ、私たちの住む世界は魅力的な進歩を遂げています。しかし、先日、米国のノースカロライナ州にて、出生証明書と同じ性別の公衆トイレを使うよう求める州法について、賛成派・反対派の双方がデモを行うという出来事がありました。それぞれの主張の正当性はさておき、グローバル企業として世界に広がるIBMは、50年以上も前から、こうした多様性についての議論に一貫した姿勢を保ち続けています。

人材の多様性が、ビジネスに豊かな価値をもたらす

日本の経済社会でダイバーシティという考え方に注目が集まり始めたのはここ数年のことですが、多人種国家である米国では、それよりもずっと以前から、人種の多様性が意識されてきました。IBMでも50年以上も前に「人種、肌の色や宗教にかかわらず、平等な条件で人材を雇用する」というポリシーを打ち出し、ダイバーシティへの取り組みを積極的に進めています。

ダイバーシティという言葉は、もともとは社会的マイノリティーの雇用機会拡大を念頭に置いて用いられてきましたが、現在では人種や性別だけでなく、思想、文化、年齢、学歴や嗜好など、幅広い観点からの「多様性」を意識して使われています。LGBT(*)への取り組みもダイバーシティの重要な一領域であり、IBMでもこの課題に関して積極的な活動を展開してきました。

(*):LGBT:Lesbian(女性同性愛者)、Gay(男性同性愛者)、Bisexual(両性愛者)、Transgender(性別越境者)の頭文字をつなげた頭字語。通常、セクシャル・マイノリティーを指す語として用いられる。

LGBTフレンドリーな職場と社会の実現を目指す

例えば、米国IBMでは、社内データベースを構築してLGBTに関する情報を閲覧できる体制を整えたり、年に4回程度のグローバルな電話会議を開催したりするなど、各国のIBM社内でカミングアウトしやすい環境づくりに取り組んでいます。

また、日本IBMでも2004年に委員会を設置し、2008年にはLGBTに対する積極的な支援を社内外に宣言しました。社内の当事者グループと人事部門が連携して制度改革を検討、イベントやワークショップの企画を行い、社外での認知度を理解・促進させるために積極的な活動を展開しています。2012年からは結婚祝い金を事実婚にまで拡大し、同性のパートナーとの事実婚も対象に。そして、2016年1月にはその方針をさらに強化し、「IBMパートナー登録制度」を独自に新設。社員の同性パートナーを事前に登録しておけば、福利厚生や人事制度について配偶者と同等の扱いを受けられるようになりました。

急速にグローバル化が進むビジネスシーンにおいて、人材の多様性は、企業、そして顧客に豊かな価値をもたらす重要な基盤となります。人種、性別、価値観、そして性のアイデンティティーの垣根を越えたIBMの取り組みは、今後も広がっていく「多様性」を受け入れる土壌づくりに、重要なヒントを与えてくれそうです。

photo:Thinkstock / Getty Images

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