難病に苦しむ子どもたちを救う、名助手の正体

米国内では、難病に苦しむ患者の4分の3が子どもだという事実が、NHI(アメリカ国立衛生研究所)の調べによって分かりました。また、幼い子どもは大人と異なり、自分の症状を正確に医師に伝えることができず、これが診断や病名の特定を難しくしているという問題もあります。

病名特定までの長い道のり

難病に対して的確な診断を下すのは、どんなに優秀な医師にとっても難しく、幾度にもわたって問診や検査を繰り返す必要があります。さらに、数多くの医療文献をあたり、場合によってはDNAのデータ・マイニングなども行いながらヒントを探して可能性を絞り込んでいきます。しかし、そうして辛抱強く検査を重ねたとしても、病名の特定や適切な治療法の発見に至らないことも少なくないそうです。

病名を特定する上で何よりも有力なヒントとなるのは、症状に関する患者からの正確な申告です。子どもの場合はそれが満足に得られず、そうした状況で診断を下すのは、地図を持たずに深い森の中をさまようようなものだと言っても過言ではありません。

「名助手・Watson」が医師の診断をサポート

こうした状況を改善するため、IBMはボストン小児病院とタッグを組んで、IBM Watson(以下、Watson)のコグニティブ技術を用い、医師や臨床医の診断を手助けするプロジェクトを立ち上げました。大量の医療文献や過去の診療データなどを全て記憶し、必要に応じて瞬時に引き出すようなことは、医師にとって困難なことです。しかし、Watsonによるコグニティブ技術を活用すれば、それも夢ではなくなります。

技術の発展により、コンピューターが人間の仕事を奪ってしまうのではないかという懸念を持つ人は少なくありません。しかし、技術はあくまでも人と共にあり、人を手助けするものであるはずです。

難病をはじめとした病気に関する膨大な医療文献を読み込み、あらゆる生体指標を理解し、必要であればゲノム配列も解析する能力を持つ有能な名助手・Watson。彼の手助けによって、医師や臨床医は、今よりもずっと多くの子供たちの笑顔を取り戻すことができるようになるに違いありません。

photo:Thinkstock / Getty Images