新しい時代のクリーン・エネルギーとして注目を集める太陽光発電。「サハラ砂漠の2%をCSP(集光型太陽熱発電システム)で覆えば、世界の電力需要がまかなえる」とも言われる魅力的な発電方法ですが、現在市場で流通しているシステムは、コスト面や発電効率面での課題が多いのが現状です。

しかし最近、膨大な電気量を集めることができる集光型太陽光発電システム「HCPVT(High Concentration Photovoltaic Thermal)」がIBM 研究所を含む複数の研究機関によって、スイスで共同開発されました。
従来の太陽光発電では、太陽光のうち30%ほどを電力として回収するだけでしたが、今回発表された発電システムでは、今まで廃熱として処理されていた熱の50%を回収し、太陽エネルギーの利用効率は合計で80%にも達します。高い発電効率を実現する秘訣となっている、3つの注目ポイントをご紹介します。

ポイント1:効率の良い冷却システム

HCPVTでは、チューリッヒ工科大学にあるスーパーコンピューター「Aquasar」でも使われている冷却技術を採用。従来のシステムの10倍もの熱を回収でき、温度が高くなりがちだった太陽電池のチップを、長時間安全な温度に保ちます。

ポイント2:低コストで製造可能

システムのほとんどの部分を橋梁で使うコンクリートで製造し、パラボラ部分には高額な金属の鏡の代わりに金属ホイルを利用。受光部の太陽電池セル自体は高価でも、それ以外の部分を安価に製造できるようにしたことで、発電量あたりの製造コストを従来の1/3以下にまで下げることに成功しています。

ポイント3:電力のほかに、飲料水も供給できる

電力だけでなく、淡水(飲料水)や冷気を生み出すことができます。パネルの冷却水を生成するのに、海水を利用。廃熱で海水を温め、塩分を飛ばして冷却水として使用したあと、その水をフィルターに通して飲料水にするのです。

効率的で低コスト、さらに飲料水までも供給することが可能な新しいHCPVTシステム。エネルギー問題、水問題、温暖化問題……現代の地球を取り巻くさまざまな問題を、一挙に解決できる可能性を秘めています。実用化に向けたさらなる研究に期待は高まるばかりです。

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