データ活用がトレーニングを超える?米国女子サイクリングチーム躍進の原動力

スポーツの世界では、伝統的に情報やデータの活用が行われてきました。例えば、野球のスコアブックを分析して相手チームのプレイ傾向を予想したり、ライバル選手を撮影したビデオなどからその弱点を分析したりといったことは、比較的古くから行われています。

そして、近年はIoTやビッグデータ解析、コグニティブ・コンピューティングといった技術の発展を背景に、スポーツにおけるデータ活用は新たな段階に足を踏み入れようとしています。

リアルタイムなデータ活用が分析の次元を変える!

従来、情報の活用は「あらかじめ収集・蓄積された情報を分析して傾向を割り出す」という形式で行われるのが一般的でした。しかし、技術の発展により、競技中にリアルタイムにデータを収集して分析し、フィードバックすることが可能となりつつあります。

例えば、筋肉センサーを選手に装着し、競技中のエネルギーの消費や回復の様子をより正確に把握したり、複数のセンサーをクラウド上のシステムに接続し、トレーニング中のデータをリアルタイムで確認したりすることができます。

また、このようにして得られたデータを「Watson IoT Platform」やコグニティブ・システムで分析すれば、 一見、無意味で曖昧なデータの集まりの中から、意義ある知見を瞬時に取り出せるようになるかもしれません。

USA女子サイクリングチームの新たな挑戦

こうした技術を既に活用しているのが、USA女子サイクリングチームです。同チームはIBMとタッグを組み、コグニティブ・システムをはじめとしたさまざまなクラウド技術による支援を受けてきました。チームのコーチ陣や選手たちは、これまでに蓄積してきた実践に基づく戦術に新しい技術からもたらされる知見をうまく取り入れ、日々のトレーニングの改善に役立てています。

その結果、2016年のUCIワールド・トラック・チャンピオンシンップにおける英国との最終レースで、USA女子サイクリングチームは、これまでの最高記録から2秒以上もタイムを縮めることに成功しました。

スポーツの世界で勝ち抜いていくためには、「より強く」、「より速い」肉体を手に入れるために厳しいトレーニングを通じて自信を鍛えていかなくてはなりませんが、新次元のデータ活用によって、自らの身体を「より賢く」使うための新たな武器が、スポーツ選手たちにもたらされたといっても過言ではありません。

photo:Thinkstock / Getty Images