食品偽装問題を追放! ブロックチェーンがもたらす「食の安全」

仮想通貨であるビットコインを支える技術として知られるブロックチェーン。その成り立ちから、金融分野で用いられるテクノロジーであるという印象を抱いている方も少なくないかもしれません。

しかし、ブロックチェーンは仮想通貨のためだけの技術ではありません。別名を「分散型台帳技術」といい、その本質は取引の記録を分散管理することによって、データの改ざんを防ぐことにあります。昨今、このブロックチェーンのテクノロジーを流通やオンライン商取引といったさまざまな分野に応用しようという試みが活発化しつつあるようです。

「食の安全」への険しい道のり

食品流通の世界でも、そうした取り組みが始まっています。食の安全は多くの人々にとっての重大な関心事で、ここ日本でも国民の半数近くが、食品の安全性について高い関心を示していることが分かっています。にもかかわらず、製造年月日の改ざんや産地の偽装といった問題が次から次へと発生し、食材の汚染や品質劣化によって健康を損なう人も後を絶ちません。

食の安全保障が困難である原因の一端は、食品流通を取り巻く巨大で複雑なサプライチェーンにあるといえるでしょう。製造業者によって製造された製品は複数の運送業者によって世界各地にある卸業者の倉庫などに運ばれ、また別の運送業者によって販売店へと運ばれます。

長く複雑な流通経路の全行程に渡って安全性を追跡・管理することは困難です。冷凍された肉や野菜、牛乳といった鮮度の落ちやすい食材を含む製品は、更に難易度が高まります。

流通ルートを見守るブロックチェーン

ブロックチェーンは、こうした問題を解決するのにうってつけの技術です。ブロックチェーンを利用することで、食材業者の手元からスーパーの棚に至るまでの流通経路を追跡管理し、「どこで製造され、どんなルートを辿って今ここにあるのか」を容易に把握できます。

「IBM Institute for Business Value」のリサーチによれば、流通経路の追跡にブロックチェーンを採用したサプライチェーンでは、販売業者は自分が取り扱う商品の品質や安全性に関して、強い確信を持つことができたといいます。流通過程におけるあらゆる取引をブロックチェーンに保存することで透明性を確保し、食の安全保障にかかる時間とコストを大幅に削減することが可能となるでしょう。

IBM Researchは現在、中国・清華大学やサプライチェーンの専門家らと共同し、IBMのブロックチェーン技術を安全で透明性の高い食品流通モデル構築に役立てるための研究を行っています。スーパーマーケットでふと手に取った食品の安全性が誰にでも一目で分かる――。ブロックチェーンによって、そんな未来が訪れるかもしれません。

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