ハッカソンから始まるマラリア撲滅へのアプローチ

「ハッカー」と聞くと、企業のサーバーに無断アクセスして情報を盗み出す、犯罪者のようなイメージを持つ人が多いかもしれません。実際、ハッカーという言葉はかつて、そうした意味合いで用いられることが一般的でした。

それが近年では、「コンピューターやネットワークに関する卓越した知識と技術を有する人」という、言葉本来の意味で用いられる場面が増えています。

新たな成果を生み出す「ハッカソン」

昨今、そうした「真のハッカー」を集めて行われる「ハッカソン」というイベントが各地で開催され、多くの成果が上がっています。

ハッカソンは「Hack(ハック)」と「Marathon(マラソン)」を掛け合わせた造語で、コンピューター・エンジニアをはじめ、さまざまなスキルを持つ技術者が一堂に会し、力をあわせて一つの成果を目指すイベントです。一般的にハッカソンでは、アプリなどのソフトウェア開発・改善が主要なテーマとなりますが、ソフトウェア開発を主軸とした上で、周辺のサービス開発まで視野を広げるユニークなハッカソンも開催されているようです。

ハッカソンで抗マラリア剤の薬剤耐性を探る

2016年秋に南アフリカ共和国・ヨハネスブルグにあるIBMの研究所で開かれたハッカソンも、そうした斬新な試みの一つだといえます。

このハッカソンのテーマは抗マラリア剤の薬剤耐性調査に関する革新的なアプローチを探ることにあり、IBM Reserach のアフリカ支部の科学者とノートルダム大学などが中心となって開催されました。8つの異なるアフリカの国々から集結した20人におよぶ多種多様な分野の若手研究者たちは、提示されたゲノム情報を基にマラリア原虫の薬剤耐性を予測するため、コンピューターを用いて新たなアプローチの発見に取り組みました。

「アフリカ各地に散らばる若手科学者の力を結集し、クラウド技術を活用した調査手法を模索することにより、抗マラリア剤の薬剤耐性調査をはじめとした複雑な問題を解決するための斬新で画期的なアプローチを発見できる可能性がある」とIBM リサーチ所属の科学者であり、ハッカソン主催者の一人でもあるDr. Geoffrey Siwoは述べています。

このハッカソンに関する詳しいレポートは、下記のページでご覧いただけます。

Hacking anti-malarial drug resistance

人の持つ知識や能力がコンピューター技術によって統合され、新たな次元の知恵へと統合されていく…人類史上において大きな転換点となり得る瞬間を、私たちは今、目の当たりにしているのかもしれません。

photo:Thinkstock / Getty Images

関連記事