通話記録を宝の山に変える、Watsonのボイスデータ解析

高度情報化時代の到来により、「データ」の重要性は、さまざまな場面において高まる一方です。
IBMが700人を超えるCMO(企業内のマーケティング最高責任者)を対象として行った調査では、2016年における最重要課題のひとつとして、「データ駆動」の考え方をマーケティングに取り入れたいという傾向が明らかになりました。

消費者はより個別化された接客を求めるようになり、企業はそうした期待に応えるために、顧客の属性、取引履歴、SNS上でのビッグデータなど、IoT機器から送られてくるセンサーデータまで、ありとあらゆるデータをマーケティング上の「素材」として活用し始めています。

手付かずで残された「宝の山」

しかしその一方で、まだまだ十分に活用しきれていないデータも多く残されています。
カスタマーセンターにおける通話記録なども、そうしたデータだといえるでしょう。

顧客とオペレーターが一対一の会話を交わす電話でのやり取りは、顧客を理解するための強力な武器となり得ます。しかし、ボイスデータはテキストデータに比べて解析が難しく、これが活用への取り組みを阻む原因となっています。

まさに、「宝の山」が手付かずのまま残されているような状況です。

「通話」が、そのままマーケティング・データに

IBM Watson(以下、Watson)の力を借りれば、こうしたボイスデータから、たちどころに深い洞察を取り出す画期的な仕組みを作り上げることが可能です。

通話情報の追跡・解析サービスを手掛ける米Invoca社では、Watson のSpeech To Text APIや機械学習などの機能をサービスに組み込み、通話をリアルタイムにテキストデータ化して解析する試みに着手しました。
たとえば、InvocaのクライアントであるFrontier Communicationsでは、この仕組みを利用して通話の内容から顧客の意図を推測したり、オペレーターによる特定の話題が顧客からの通話評価にどのように影響するか統計を取るなどして、マーケティング戦略の最適化に役立てているそうです。

ディープ・ラーニングや機械学習といった高度なAI技術の発展により、ボイスデータを効率的に解析することが可能となってきています。
手付かずのまま残された通話記録が、コグニティブ技術で文字通り「宝の山」に生まれ変わる――Watsonは今まさに、データ駆動マーケティングの領域に、新たな境地を切り開こうとしているのかもしれません。

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