モノ自体が語りかけてくる、IoT時代とは

モノを扱う企業にとって、商品管理は重要かつ悩ましいテーマです。定期的に棚卸しを行い、在庫商品の不足や不備を確認するためには、人手やコストを費やす必要があり、物販業、物流業、倉庫業などを営む企業の多くが、商品管理の効率化に頭を悩ませています。

ICタグが開く在庫管理の新境地

大量の商品を貸し出すことによって利益を上げるレンタル業界も、その例外ではありません。むしろ、商品の状態、出入りや稼働状況などを細かく管理する必要があり、商品を販売する物販業よりも複雑な課題を抱えているといってもよいかもしれません。

そんな課題を解決すべく、日本IBMと大日本印刷株式会社(以下、DNP)、広友レンティア株式会社は、ICタグを利用した新しいレンタル品管理システムを開発しました。

このシステムでは、DNPが開発した「DNP金属対応広指向性ICタグ」を利用して、レンタル品の管理を行います。このICタグは、取り付けた金属製品をアンテナの一部として活用し、非接触通信を行います。例えば、これまでは電波への影響が大きかった、金属製のレンタル品の背面などに取り付けても、安定的なデータ読み取りが可能です。今までのICタグでは活用が限定されていた、金属製什器や機器などのレンタル品を管理するのに力を発揮します。

ICタグデータの分析からプロセス管理の自動化まで

このシステムの特長は、単に商品の在庫管理を効率化するだけでなく、レンタル業務に伴って生じるさまざまなプロセスに沿った商品の状態把握が行えるという点にあります。

保管場所からの出庫、レンタル先への搬入、レンタル終了後の搬出、返却による保管場所への入庫……といったプロセスごとにICタグを読み取り、その情報をビッグデータ分析することで、稼働率向上や在庫保管コストの低減、計画購買精度向上による仕入れ費用の低減などを図ることが可能となります。

今後は、顧客に対し、モバイルアプリやAPIの提供などにより、現在レンタル中の商品情報をタイムリーに照会できる、利便性の高い仕組みの提供も進めていくそうです。

IoT技術により、人がモノを探すのではなく、モノ自身が自分の居場所や状態を「語る」ことが可能となりつつあります。いずれはこうした技術が、私たち消費者の身近なところにも進出し、「おーい」と声をかけるだけで欲しいモノが手元にやってくるーーそんな時代が来るのかもしれません。

photo:Getty Images