ウッドサイド・エナジー社は、年間1,800億円を売り上げるオーストラリア最大の民間石油企業です。同社では発掘機械の設置やメンテナンスのため、従業員が数週間にわたって海洋上のプラントに滞在し、作業に従事しています。

クリティカルな意思決定をAIが支援

海洋上の作業には、さまざまな危険が伴います。さらに、機械トラブルなどで作業がストップすれば数千万円の損失が生じることもあるため、万が一にも失敗は許されません。従業員は慎重に慎重を期して、業務に当たる必要があるのです。

作業を行う際は天候や風向き、潮流、海洋動物の移動パターンなど、あらゆる要素が考慮されますが、判断に際しては長年の間に蓄積されてきた記録を参照するほかなく、その検索には膨大な時間とコストがかかっていました。そんな社員をサポートするために導入されたのが、IBM Watson(以下、Watson)です。

30年分のあらゆる知見へ、瞬時にアクセス

ウッドサイド・エナジー社では、Watsonに膨大な量の情報ーー過去数十年のプロジェクトの記録文書、機械のマニュアル、自然言語で書かれた業務日報などを学習させ、従業員からの専門的な質問に回答するシステムをIBM Cloud上に構築しました。

IBMのクラウド上に配備されたコグニティブ・ソリューション「Willow(ウィロー)」にはウッドサイド社の38,000本に及ぶドキュメントが読み込まれ、「やぁ、ウィロー。プラットフォームに着陸できるヘリコプターの最大重量はどのくらい?」「パイプの設定温度を教えてくれないかい?」といった自然な言葉での問いかけに対して、WatsonのさまざまなAPIを活用してすぐさま適切な答えを返します。

ウィローの導入により、同社の従業員は30年にわたって蓄積された知見に瞬時にアクセスし、より確実な判断を下せるようになりました。その検索にかかる時間は実に75%も削減されたといいます。

ベテラン社員の経験に基づいた知識をコグニティブ・システムに集約し、他の社員が活用できるようにすることで、企業はよりスマートな形で意思決定を行えるようになります。同様の取組みは石油・ガス会社だけでなく、航空会社、病院、教育機関や政府などでも始まっています。

人間のパフォーマンスを、一層高めるためにーー。AI導入により加速する各種産業の業務改革から、今後も目が離せません。

 


■関連動画

各業界での活躍が期待されるAI / THINK tv「Watson事業責任者が語る! IBM Watsonが拡げるビジネスの可能性」