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書籍やテレビ、ラジオでの最新デジタル環境に関する啓蒙活動や、自らブログメディアを立ち上げるなど様々な活動を行っているジャーナリストの津田大介氏。審議会やシンポジウムなどイベントの様子をSNSで実況する「tsudaる」は時代を表す流行語にもなった。
メディア・アクティビストとして、進化するデジタル環境にあわせた生き方を常に紹介・実践する津田氏に、ハードウェア、ソフトウェアなど加速する情報化社会の中で、人はどう生きるべきなのか――そのスマートな生き方のコツを聞いた。

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これからのソーシャルメディアに求められるのは、お金を集められる仕組み

今、ソーシャルメディアを通じて、人とつながり、注目や共感を集めることはできるようになりましたが、次のステップとしてネット社会に求められるものは、素晴らしい活動にお金が行く仕組みです。クラウド・ファンディングもずいぶん使われるようになりましたが、人々の共感を集められれば、アメリカなら1億円規模でお金が集まるプロジェクトがいくつもあるのに対して、日本では、成功したケースでも100万円単位というのが現状です。

なぜ、日本ではあまりお金が集まらないのか。その理由として、日本では、決済システムが壁になっていると考えています。Amazonがこれほど成功したのはワンクリックで買い物ができるようにしたからなのですが、ネットを通じてお金を出したい人がいても、日本ではワンクリックで送金できるというわけにはいかない。応援したい、と思った時、誰でもすぐに資金的に応援できるシステムがあれば、お金を出したい、と思う人は多いのではないでしょうか。

僕は、フェイスブックの「いいね!」の隣に「超いいね!」というボタンがあり、クリックすると、50円とか100円とか寄付できるようになればいいと思っているんですけれどね(笑)。もちろん、詐欺行為などを防止するシステムも同時に考えなければいけないのですが、心理的に抵抗のない、わずかなお金をたくさんの人から集められるシステムが必要だと感じています。

今後ますます期待されるビッグデータとクラウド

津田大介氏ビッグデータがおもしろいのは、世論の可視化を可能とすることだと思いますね。10年前、ネットのリサーチは使いものにならなかった。ネットの意見は偏っていると思われていたけれど、今は、昔の新聞社がかけていた世論調査の100分の1、1000分の1の費用で、世論をネットで調査できる。この恩恵はビッグデータによるところが大きいですよ。これからは政治家がネットの意見を分析し、政局を考える時代になっていくのでしょう。

一方クラウドは、ユーザー側にとっては、使うデバイスを選ばなくなったという利点がありますが、最も威力を発揮するのが、コストダウン効果です。米国では3年ほど前、ロサンゼルス市役所は、全部クラウド・システムにして、20億円規模のコストダウンを実現しました。利便性だけではなく、コストダウンしたいのなら、クラウドを使うことは不可欠です。

今はクラウドが「バズワード」のようになっているけれど、クラウドという言葉を誰も使わなくなるぐらい、社会で当たり前になることが理想です。その際、必要とされるのは業界の改革で、たとえば「医療クラウド」を作りたいのなら、医療現場での情報共有のあり方から考えなければなりません。そして守らなければならない情報と、クラウドにのせる情報を分けるといったリテラシーを考えていくといったことが必要となってきます。

若い人たちに望むのは、大きな「旗」を揚げること

僕は外見こそ金髪にしていますが、正直なところ、目立つのは好きじゃないんです(笑)。サラリーマンだったらできないことをやろうと考えて、金髪にしている――それぐらいの理由です。ただ、目立つことは好きではない僕でも、周囲を巻き込み、やるべきことを達成するために、旗を揚げ、人に伝えていくことが大事だと思っています。

旗を揚げる、これが今の時代に最も必要とされることなのです。具体的には、目指すものをイメージし、それを周囲に伝え、実行する力をつける。未来を作っていくためには、まず、旗を揚げる人がいなくてはなりません。

社会を変えていく人々が世の中にもっと多く出てきてほしいし、そのためにはまず、誰かが旗を揚げなければなりません。どうやって旗を揚げるか、その方法を若い人に伝えていきたいし、旗を揚げた若い人に対しては、「もっと旗を大きくしろ」と言いますね。小さな旗から大きな旗へしていくことで、社会を変えていくことができるのです。

もともと僕はパソコンライターですが、「音楽」と「デジタル」をテーマ的に組み合わせたブログを始めたことで、仕事の幅が広がりました。音楽の専門家も、デジタルの専門家もいますが、その両方の視点から情報発信できるのが僕の強みだったのです。今取り組んでいる政治メディアについても同じで、政治そのものに介入するのではなく、「メディア」と「政治」を組み合わせることが僕の役割であり、異なるジャンルを組み合わせて発信することこそ、僕の強みでありスタンスであると認識しています。旗を揚げること。自分の強みを見つけること。僕は今年、40歳になりましたが、20代の若者にとても期待しています。

text:野田香里

津田大介氏

つだ・だいすけ
津田 大介

ジャーナリスト/メディアアクティビスト。1973年生まれ。東京都出身。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。大阪経済大学客員教授、早稲田大学大学院政治学研究科非常勤講師なども務める。
公式サイト:http://tsuda.ru/


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