ブロックチェーンが可能にする「オートクチュール医療」とは?

「ロングデータ」という言葉を知っていますか?  一言でいうなら、特定の人、モノ、場所などに関する情報を時系列でつなげ、長期的な変化を扱うデータを指します。

ロングデータには、たくさんの種類があります。たとえば、材料が加工されて製品になり、倉庫で管理された後、出荷されて消費者の手に渡るまでの過程を記録した流通データなども、ロングデータの一種と考えられます。

ブロックチェーンがロングデータ活用の扉を開く

ロングデータを扱う上で、情報の信頼性をいかに担保するかというのは、重要な課題です。

膨大なデータの統計・分析から洞察を引き出すビッグデータ活用とは異なり、ロングデータを活用するには情報の連続性とともに、データを構成する個々の情報の正確さも重要なポイントとなります。また、特定の人やモノに関する情報が集約されるという点で、高度なセキュリティーが求められます。

こうした課題を解決する手段として注目されているのが、「ブロックチェーン」です。仮想通貨ビットコインの基盤を支えるブロックチェーン技術を適用すれば、情報の改ざんを防ぎ、信頼度の高いロングデータを維持・活用することが可能となるのです。

医療分野におけるイノベーションの鍵を握るブロックチェーン

ブロックチェーンは金融業界のみならず、さまざまな業界のビジネス構造に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。2017年現在、そんなブロックチェーンにとりわけ熱い視線を注ぐのが医療業界です。

いつ、どんな治療を受け、どのような薬を服用したのかを信頼できるロングデータとして記録できれば、医師の経験値だけに頼らず、1人ひとりに合った、まさにオートクチュールな治療を患者に施せるでしょう。また、医薬品の製造・流通に関する過程を逐一記録して管理できれば、より安全で質の高い薬を提供できます。

IBM Institute for Business Valueの調査では、調査対象の医療機関のうちの実に9割が、2018年中にブロックチェーン関連に何らかの投資を行う計画であると回答しているとか。この先、ブロックチェーンが医療業界にどのような革命を起こすか、ぜひ注目したいものです。

photo:Getty Images

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