ナノメートル級のものづくりに挑む、最新のコグニティブ技術

ナノメートル(10億分の1メートル)の世界で作業する半導体チップ製造では、設備に生じる小さな「狂い」が命取りになりかねません。欠陥が生じる原因は生産プロセスの至るところにひそみ、製品の生産や品質・信頼に多大な悪影響を及ぼします。

製造現場では、半導体の製造装置にセンサーを設置して稼働状況をモニタリングし、欠陥をなくすように努めています。しかし、製品の欠陥を完全に取り除くのは簡単ではありません。

コグニティブ・コンピューティングで欠陥の発生を予測

IBMと半導体の製造装置メーカーである東京エレクトロン株式会社(以下、TEL)は、この問題の解決にコグニティブ・コンピューティングを活用しようと、欠陥予測の新たなアプローチに関する共同研究に過去18年間にわたって取り組んできました。

今回のプロジェクトはTELの製造装置にコグニティブ技術を適用し、センサーから送られてくる膨大な非構造化データ(機械のメンテナンス・ログや商品の写真など)の中から異常の発生に先駆けて起こる特定のパターンを読み取り、欠陥を事前予測する試みです。

ナノメートルレベルの異常を特定

個々の機械に取り付けられたセンサーが、単にアラームで異常検出を知らせる従来の仕組みとは異なり、コグニティブ技術による欠陥予測は、はるかに敏感で洗練されています。

たとえば、過去の製造履歴やウェハー(半導体に使用される材料)の形状などの非構造化データを分析することで、装置に生じるナノメートルレベルのズレを検知します。その上で、最適な稼働コントロールが可能となるのです。

コグニティブ技術により認知能力を持った機械が、ナノメートルの世界を制御する。人間とコグニティブ・コンピューターがタッグを組めば、半導体製造の常識が大きく変わるでしょう。

photo:Getty Images

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