AIは人間と同じように、芸術性を獲得できるか?

AIが目指す究極のゴールは「創造性の獲得」だといえるかもしれません。私たちと同じように話し、思考し、創造できるコンピュータ・システムをつくり上げる夢を、人々は抱き続けてきました。

まさに創造性のフロンティア。果たして、そんな夢が実現するのでしょうか?

AIは創造性を獲得できるのか?

近年、AIは目覚しい進歩を遂げています。ビジネスの領域はもちろん、アートの分野でも数々の先進的な試みがなされています。2016年に、IBMはWatsonを使って映画『Morgan』の予告編を作成する研究に取り組みました。

このプロジェクトでは、Watsonに既存のホラー映画の予告編の映像、音、構成を大量に分析させた上で、人間が恐怖したり、興奮したりしそうなシーンを本編の中からピックアップさせたといいます。通常1週間かかる作業を、たった1日で終えられたのは特筆すべき成果です。

しかし、これだけでAIが「創造性を獲得した」と言い切るには、少し無理があるでしょう。

「AIに、偶然目新しいものをつくらせるのは難しくない。しかし、意外性があり、かつ有益な何かを新しくつくらせるのは、本当に難しい」と、IBMリサーチのジョン・スミス氏は述べています。

創造性で、人間に取って代わるか?

例えば、「美とは何か」をAIに教えるのは、不可能ではありません。

AIに大量のデータを読み込ませ、「美しいもの」と「美しくないもの」を教えれば、いずれ美の概念を獲得するでしょう。しかし、美の概念を獲得したAIに、すぐさま“美しい何か”をつくらせるのは、また別の話と言えます。美しいものが「わかる」のと「つくる」のでは、大きな隔たりがあるのです。

コンピューターが真に創造的になるには、まず私たち自身の創造的アプローチについて理解する必要があるでしょう。なぜなら、プロの芸術家や科学者が普段している作業の多くは探索的であり、その創造的思考を支える多くのプロセスは未知の部分が多いのです。

そして、長い時間と労力をかけた末にコンピューターが創造性を獲得しても、あくまで私たちにインスピレーションを与えてくれる“アシスタント的な立場”を取ると、Watsonの最高技術責任者であるロブ・ハイ氏は明言します。

クリエイティブな世界には、表舞台からは見えない多くのタスクが存在します。それらを効率的にこなせるよう人間をサポートするのが、コンピューターが発揮する最高の創造性かもしれません。先述の映画予告から、その一端を垣間見ることができます。ぜひチェックを。

Photo:Getty Images

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