AIによる営業支援が外食産業に革命を起こす日

人口の減少、市場の成熟化、消費生活の多様化などにより、さまざまな業種がビジネス・スキームの転換を強いられています。中でも食材卸売業は、大手業者による寡占化などで、シビアな状況に直面しているといえるでしょう。

そんな中、営業効率化と顧客サービスの向上にAIを活用しようという試みが、一部で活発化しています。

Watsonが外食産業の多様なニーズに応える

日本IBMは2017年4月、株式会社西原商会(以下、西原商会)が、IBM Watsonを活用する営業支援システムの運用を開始したと発表しました。

西原商会は鹿児島県に本社を置く食材卸業者で、昭和46年の創業以来順調に業績を伸ばし、九州エリアを中心にホテルやレストラン、結婚式場、料亭、居酒屋などへの食材卸売を営んでいます。

近年、外食産業では食品アレルギーへの注意、食品の産地やトレーサビリティーの明示、ベジタリアンやハラールといった多様な消費者ニーズへの柔軟な対応などが求められています。こうした要望に対し、西原商会では自社で取り扱う食材やそのレシピ情報、食に関する基礎知識などを社内Webシステムに蓄積して、各種問い合わせに対応してきましたが、AIの導入により営業の提案力強化と業務効率化が見込まれます。

10万件を超える情報で、営業担当者を強力支援

西原商会の新たな営業支援システムでは、10万件以上に上る食材の情報や過去の問い合わせ回答をWatsonに学習させ、営業担当者からの質問に、迅速かつ的確に回答できるようになりました。

たとえば、社内Webシステムのチャット画面に「春のお弁当に最適な食材の組み合わせは?」といった自然な話し言葉で質問を入力すると、WatsonのNatural Language Classifier(自然言語分類に関するAPI)で質問を解釈し、適切な答えを得られる仕組みです。

このシステムの実現により、問い合わせに関する業務が2割効率化され、顧客満足のさらなるアップを目指す素地が整いました。今後は、営業担当からだけでなく、顧客から直接寄せられる問い合わせ回答や受注処理なども視野に入れ、さらなる業務効率化を図る計画です。

人工知能が人間の仕事をすべて担うというのは、現実的な話ではありません。しかし、疲れを知らないAIによる業務サポートは、逆境に立たされる業界にとって、新たな商機と勝機を呼び込んでくれることでしょう。

photo:Getty Images