コグニティブ技術で人命救助! Watson Rescueという試み

2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震などの大規模な災害を経て、中央省庁や自治体、民間事業者などは災害時の有効な対策についてさまざまな角度から検討を進めてきました。その一環として、災害時の救助活動にIT技術を活用する試みが活発化しつつあります。

初動対応における迅速な意思決定をITで支援

冒頭で述べた、近年発生した震災では、SNSや各種安否確認ツールが被災地域における情報収集に大きく貢献したのは、すでに多くの人が知るところです。

しかし、東日本大震災における犠牲者の60%は、高齢者をはじめ“自力での避難が困難な状況にある人”だったと報告されています。もし、助けを必要とする人の緊急性に応じて、適切な順序での救援活動をサポートする仕組みがITで整えば、今後「救える命」を増やせるのはないでしょうか。

Watson Rescueが要救援者と救援者をつなぐ

日本IBMは、IBM Watsonを活用した災害時の救出・救助活動における意思決定支援ツール「Watson Rescue」を開発し、プロトタイプ版をスタートさせました。

Watson Rescueは要救援者向けのスマホアプリ「チャットUI」と救援者向けの「レポートUI」で構成され、要救援者と救援者をリアルタイムにつなぐプラットフォームとして機能します。

要救援者は直感的でわかりやすい「チャットUI」を介してWatsonに語りかけ、自身の安否情報を登録します。登録された情報はBluemix上のデータベースに蓄積され、WatsonのAPIがそれを解釈・分類して、救援者向け「レポートUI」のマップ上に緊急度別に色分けされた要救援者の情報を表示するという仕組みです。

また、マップは救急車や消防車などがどの地点へ向かうのが適切であるかを判断する意思決定を支援するツールも兼ね備え、スピーディーな救助活動をサポートします。

世界でも有数の自然災害大国として知られる日本では、ITを活用した災害対策は今後も重要な取り組みのひとつとなっていくでしょう。Watsonのようなコグニティブ・コンピューティングが、そうした取り組みを支える強力なツールとして活躍する日は、そう遠くないうちに訪れるはずです。

■参考資料:
レジリテック(Resili-Tech) – 最新ITテクノロジーが変革する事業継続の近未来ー第2回 Watsonが災害時の人命救助を支援する

photo:Getty Images