IBMは2011年、創業100周年を迎えました。
100年前の1911年、そのとき、一体何が始まったのか──。
IBMの歴史を探る本連載「Think of History」。第1回は、「1911年」の謎に迫ります。

1911年、3つのアルファベット

「IBM」の社名が、International Business Machinesの略称であることは、良く知られています。しかし、同社が創業された1911年に生まれたのは、IBMではなく「C-T-R」という3文字を冠した会社でした。その意味するところは、Computer(機械)-Tabulating(集計)-Recording(記録)。それぞれが違う事業を持つ、3つの会社が合併したのです。

最初の文字「C」の元になったのは、Computer Scale Company of America社。食肉スライサーや秤を作る、機械メーカーでした。2つめの「T」はHollerith’s Tabulating Machine社。パンチカードを利用した、会計情報の集計機械で財を成した会社です。そして最後の「R」は、商用時計を作っていたInternational Time Recording社に由来しています。IBMの前身は、3つの異なる機械メーカーの統合した、多角的な会社だったのです。

3つの会社を繋げた、あるビジネスマンの慧眼

チャールズ・フリント

IBMの前身、C-T-R社の誕生の裏側には、一人の実業家の存在がありました

C-T-R社設立からさかのぼること4年。ある実業家が、3社の創業者と幹部を集めます。男の名は、チャールズ・フリント。南米へのプランテーション農業用機械の販売で成功を納めた人物です。彼はまた、今でいうM&A仲介の専門家で、数多くの企業合併を手がけてきました。「会社が複数の異なる製品を持つことで、ある年に1つの製品の売れ行きが悪くても、他製品の利益によりビジネスを継続できる」という彼の言葉によって、経営者たちはC-T-R社の設立へ向けて動き出したのでした。