120万人の市民を抱える、アイルランドの首都ダブリン。人口集中による交通渋滞にあえぐ街を救うべく同市交通課が選んだのは、ビッグデータという最先端の武器でした。

バス運行状況をリアルタイムに「みえる化」する

20世紀末の劇的な経済成長とともに、急激な人口増加も起こったダブリン市。街中を常時約1,000台のバスが走っているといわれる同市では、交通渋滞が大きな課題となっていました。行政サービスへの最新技術の導入に積極的に取り組んできたDublin City Council(ダブリン市議会、DCC)は、この問題の解決にもテクノロジーを活用することを決断します。その技術こそ、ビッグデータ。DCCの交通課は、持ちうる全てのデータを組み合わせ、バスの運行状況を正確に把握することを目指しました。
利用したのは、バスの時刻表、車両検知器、雨量計、道路の監視カメラ、GPSなどから得られるデータ群。これらを統合して市のデジタル地図を作成、バスの位置情報をリアルタイムに表示させることに成功したのです。
交通管制官はいまや、すべてのバス交通網を把握し、遅延が発生している場所についてはその詳細を映像で確認することまでできるようになっています。このようなビジュアライゼーションを駆使して、渋滞の原因を迅速に把握し、その対策のための意思決定を素早く行うことで、渋滞の解消が進んでいるのです。

オープンデータの推進とビッグデータ活用で、都市はよりスマートになる

この仕組みのほかにも、DCCはデータで街をより快適にするためのさまざまな取り組みを行ったり支援したりしています。その基盤となっているのが、dublinked.comというウェブサイト。このサイトは、市の所有するデータの一部を公開し、またそれを用いた民間の取り組みを紹介する、行政データの分野では世界でも有数のプラットフォームとなっています。
先に紹介したバス運行のデータビジュアライゼーションや、dublinked.com の運営などは、2010年からDCCが行っているスマーター・シティー・プロジェクトの一環。この計画にはIBMがパートナーとして参加しています。次の取り組みは、気象データを取り入れ、市の交通事情をさらに改善するための追加プロジェクトだとのこと。テクノロジーを駆使した住みよい街づくりは、更に加速していきそうです。

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