「ニューヨークパブリックスクールとニューヨーク市立大学、IBMのコラボレーションであるブルックリンのP-TECHでは、生徒たちは、高等学校の学位とコンピューターかエンジニアリングの準学士号を取得して卒業していきます。すべてのアメリカの生徒たちに、このような機会を与える必要があります」
これは、2013年10月、P-TECHの学校を訪問したオバマ大統領の言葉です。米大統領からのお墨付きをもらう、この新しい学校教育のモデルについてご紹介します。

アメリカ生まれの新たな学校教育プログラムP-TECH

P-TECH(Pathways in Technology Early College High School)とは、2011年9月にアメリカ・ニューヨークのブルックリン地区で開設された、まったく新しい学校教育形式。高等学校と短期工科大学のカリキュラムをあわせ、6年制の一貫教育に再設計することで、科学技術分野に特化した専門教育を受けることができます。授業料が無料となり、生徒個々人の学習進度にあわせた教育プログラムが行われるのが特徴。2013年10月の段階で、P-TECHモデルを採用した学校は全国で27校にのぼり、ブルックリン校には335人の生徒が在籍しているといいます。

アメリカの教育行政で注目が集まるSTEM

Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)。この4つの頭文字をとったのがSTEMです。子供たちの科学技術の理解を促進させ、科学技術リテラシーの向上を図るSTEM教育は、アメリカにおける科学技術人材育成のための国家戦略として位置づけられています。このSTEM教育の推進に貢献したのが、産官学の協働プロジェクトでもあるP-TECHでした。

生徒も企業も国も、みんなが幸せになるコラボレーション

家庭の経済環境を理由に進学を諦める人々はたくさんいます。P-TECHは、彼らに専門教育の機会を無償で与えるだけでなく、国家戦略として掲げられたSTEM教育の推進にも役に立ち、さらなる進学の機会、または就職の機会を準備しています。IBMの従業員がメンターとして生徒につき、実践的な知識やスキルを個人的に教えるため、IT業界の即戦力育成にも効を奏しており、関係企業にも歓迎されています。

一回きりの社会貢献活動にとどまることなく、企業の本業を生かし、さまざまなプレイヤーと協力することで長期にわたる社会貢献を行うP-TECH。未来の世界的起業家は、ここから生まれてくるのかもしれません。