いま、もっとも渇望されている「データ・サイエンティスト」その役割とは?

「情報化社会」という概念が広く使われ始めたのは、1990年代半ばのことだと言われています。
それから約30年――コンピューターやスマートフォン等が普及し、インターネットを中心としたネットワーク・インフラが整備されたことを受けて、情報は質・量の両面で大きな変化を遂げました。
加えて、近年のIoT(Internet of Things)やビッグデータ処理、AI(人工知能)といった新たな技術の進化により、社会における情報の位置付けは大きく見直されつつあります。

企業が熱烈に求める「データ・サイエンティスト」とは?

社会の高度な情報化に伴って、現在懸念されているのが、そうした変化を支える人材の圧倒的な不足です。

2019年3月に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」によれば、高度IT技術を支える人材は、2030年には最大で約80万人不足すると考えられています。
そんな中でも、データ活用やAIの導入に意欲的な企業からとりわけ熱烈に求められているのが、データ・サイエンティストと呼ばれるプロフェッショナルです。

ビジネスとデータをつなぐ包括的な視点

データ・サイエンティストとは、一言でいえば「データに基づく合理的な意思決定をサポートする」役割を担う職務です。

「データを扱う」という観点では、データ・アナリストや機械学習エンジニアという職業もあります。データ・アナリストは特定のデータの処理や分析を中心的に手掛けます。機械学習エンジニアは、AI技術の一つである機械学習を用いて大量のデータを処理し、適切なモデルを作成するのが主な役割です。

対してデータ・サイエンティストには、大量データからの情報抽出、抽出したデータの分析や予測モデルの作成、作成されたモデルを用いた意思決定の支援といった、包括的な領域での活躍が期待されています。このため、データ・サイエンティストを目指す人材には、数学やコンピューターサイエンス、データ解析等の知識はもとより、自らが扱うビジネスドメインに関する高度な理解、データを用いて現実の問題を解決する能力などが求められるのです。

優秀なデータ・サイエンティストを育てるために

データ・サイエンティストは比較的新しい職業です。アイ・ビー・エムでは2015年から、データ・サイエンティストの職種を設けており、その価値を実感してきました。さらに2017年からは、公式な業界団体であるThe Open Groupとデータ・サイエンティスト認定制度の確立に向けて 連携を始め、2018年末より、全地域の全社を対象として社内運用を開始しています。この認定制度は、IBM社内で認定を受ければ、The Open Groupとの連携により、業界水準と同レベルの認定が付与される仕組みになっています。

データ・サイエンティストを必要とする企業がこうした認定制度を設けることで、データ・サイエンティストの社会的認知度が向上するとともに、データ・サイエンティストを目指す人材への道標を示すことにもつながるでしょう。

ビッグデータ、AI、IoT――高度なIT技術により作り出された膨大なデータの海へと漕ぎ出す上で、その案内人となるデータ・サイエンティストは、まさに「なくてはならない存在」となるはずです。前述のような制度のもとで一人でも多くの優秀なデータ・サイエンティストが生まれ、育っていくことを切に願います。

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photo:Getty Images