蛇口をひねれば清潔な水が手に入る国・日本に住む私たちは、「水はごく身近にあり、特に苦労することなく手に入るのが当たり前である」と錯覚しがちです。しかし今日、人口の増加による地下水位の低下などを背景として、水不足は世界的な問題となりつつあります。

ケニアにおける水資源問題

ケニアでは人口4千600万人のうち41%もの人が、池や浅井戸、川などの水源に頼っています。公共水道サービスプロバイダーは55ありますが、そのうち継続的な供給を提供しているのはわずか9つのみなのです。

従来、ケニアのような乾燥地域では、インフラへの投資により水不足に対処してきました。具体的には、より多くのボアホール(地面をボーリングし空けた穴)を掘削し、汲み上げる地下水の供給を増やすという方法です。しかし、ボアホールの維持は各地域に任せられているため、ボアホールの多くは設置後数年以内に故障し、そのまま放棄され使用されなくなります。そのうえ、公共水道サービスの管理者は設備の場所や状態、性能を正確に把握できず、適切な修理とメンテナンスを行えずにいました。

スマート・テクノロジーが水不足のためにできること

ケニアにおけるこうした問題を解決するため、IBMはパートナー企業と共同で、ケニア北部に水流をモニターするIoTネットワークを構築し、クラウドホスト型の水管理プラットフォームを開発しました。

このシステムはIoTセンサーによって地下水の消費と供給のパターンを割り出し、管理者にデータを提供します。管理者はこの情報をもとに、水の使用量、漏出、盗難の把握のほか、設備の破損や修理データの収集も行うことができます。また、給水所のデータベース、地質図、各地域内の管理体制や連絡先の詳細情報も、プラットフォームを通じて閲覧することができます。

さらに、IBMはボアホールの整備も行いました。ボアホールに障害が発生すると、水汲み場に設置された水流センサーから信号が自動的に送信され、修理・メンテナンスチームに通知されます。その結果、水汲み場は従来よりも長期間使用できるようになりました。

今ではこれらの取り組みが実を結び、3年未満で、約27万人の人々と約50万匹の家畜へ安全な水を提供できるようになったといいます。

この記事で紹介したのはケニアにおける事例ですが、水不足はアフリカやインドなどの乾燥地域だけでなく、アメリカやイギリス、そして私たちの暮らす日本でも深刻な問題となりつつあります。

近い将来訪れるであろう世界的な水不足に備えて、クラウドやIoT、そしてブロックチェーンなどのスマート・テクノロジーでなにができるのか――IBMはこれからも考え続けます。

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