先鋭化の先にある多様性こそが日本をサバイブさせる

画一化の時代の中で、私たちは生き残るためにどうするべきなのだろうか。

河口洋一郎教授「例えば、日本には花鳥風月という感覚があります。これは、日本には四季というものを感覚的に感じることができる環境があるからこそ根付いたものです。このような感覚はいたるところに根付いていて、日本ではモノトーンのファッションは街に溶け込みますが、南国ではモノトーンは周囲から浮いて、すごく目立ちます。地域にはそれぞれ固有の進化系が存在していて、それは私たちの文化にも大きな影響を与えているのです」

人間の感覚は、その局地的な環境の影響を大きく受ける。この自然環境から生み出された独特の感覚が、画一化の波に呑みこまれずに人類が進化していくための大切な価値になると河口教授は考えている。

「葛飾北斎という人がいましたが、彼は世界の芸術史に残り続けています。それは浮世絵というものが、数少ない日本オリジナルの芸術様式だったということが大きい。そういう意味で、生き残りのために、日本はもっと高度に特殊進化していくべきだと思います」

グローバル経済の文脈からすると、特殊化は良くないことかもしれない。しかし、進化という観点からみると、いわゆる特殊化とは人類の多様性ある進化のひとつの形であり、世界の中で日本が生き残っていく可能性になると、河口教授は考えている。

芸術表現も同様に、その文化圏に独特な高度な「センス」をもっと先鋭化していくべきで、それがその地域と作品の大きな魅力となる。そうでないものに価値は生まれない。「ここにこないと見られないもの」がない地域に、はたして観光客は訪れるのだろうか。
河口教授は続けてこう語る。

「日本にとって必要なことは、伝統に根ざした地域振興を観光資源として、そこにしかないものをどんどん進化させて国際競争力を高めていくことで、行政もそれを積極的に推進していくべきだと思います」

ある地域に独特な文化の先鋭化こそが「価値」を生み出し、人を呼び込む。さらに、その地域に人々が集まることによって多様性が生まれ、新たな文化を生み出すという進化をもたらす。
この有機的なサイクルを作り出すことが、未来を生き残るために必要なことだと河口教授は考えている。

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