Googleトレンドによれば「Internet of Things(以下、IoT)」というキーワードが急激に広まり始めたのは、2014年頃のこと。日本のIoT元年は2015年だといわれていますが、昨年はIoTの普及がさらに進んだ1年だったといえるでしょう。
IoTが新たなビジネスモデルを切り拓く
IoTと聞くと、家電製品や自動車、ウェアラブル端末といった一般消費者向けの製品が思い浮かぶかもしれません。しかし、IoTはBtoC領域に限定されたテクノロジーではありません。あるリサーチ会社は、2020年までに行われるIoT投資の約8割がBtoB関連で占められると予測しています。
インターネットやモバイル端末、人工知能やバーチャル・リアリティーなど、世界の在り方を大きく変えるテクノロジーが登場していますが、IoTも間違いなくその一つです。今後、IoTテクノロジーにより、見たことのないような全く新しいビジネスモデルが次々に登場することでしょう。
IoTをめぐる5つのトレンド
IBMのクリス・オコナー氏は、2017年に注目すべきIoTの5つのトレンドについて以下のように述べています。
1つ目は「コグニティブ・システム」。コグニティブ・システムであれば、ネットワークに接続されたIoT機器から得られる複雑で多種多様なデータを、人の手を介さずに革新的なアイデアや技術に変えることができます。
2つ目は「セキュリティー」。ネットワークに接続される機器が増えるほど、多層的なセキュリティーが必要となります。IoTの可能性を最大限に引き出すため、より先を見越した高度なセキュリティーが求められます。
3つ目は「ブロックチェーン」。ブロックチェーンは動作処理を自動化かつ暗号化し、プライバシーとセキュリティーを保持します。IBM Watson IoTもブロックチェーン機能を備え、IoT機器から得られる情報処理を可能にします。
4つ目は「API」。これなしにIoT機器は意味を成しません。APIはインターネットとモノの間にあるインターフェースで、IoT機器から得られる大量のデータを取り込んで処理する際に欠かせず、今後、ますます重要になるでしょう。
5つ目が「プラットフォーム」。土台となるプラットフォームにコグニティブ・システムや高度なセキュリティーなどを加えることで、一層その価値を高めることができます。そんなIoTプラットフォームが、企業ビジネスの変革を促すはずです。
IoTは、いまだ進化の途中。来年の今頃は、私たちが想像もしなかったような新しい世界が目の前に広がっているかもしれません。
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