成長段階に応じて経営のスタイルを変える

小林 一部の例外はありますが、日本ではベンチャー企業を含めて「取締役は全員日本人の男性」という企業が大多数を占めています。マネジメントの多様性を高めるうえで、どのようなアプローチが有効でしょうか。

北城 多様性にもさまざまな切り口がありますが、特に外国人に着目した場合のポイントは二つあると思います。まず、キャリアモデルを用意すること。現地法人で成果を上げた外国人幹部を本社に異動させて、大きな役割を担ってもらう。あるいは、スペイン現地法人からアルゼンチン現地法人へといった人事でもいい。いずれにしても、「自分も頑張ればあの人みたいに活躍できる」というモデルを見せることが重要です。

もう一つは、処遇体系です。日本特有の長期雇用を前提にした仕組みは、外国人には適さないこともあります。長期のインセンティブと短期のボーナスを上手に組み合わせた報酬制度を整える必要があると思います。

小林 経営者自身も、変わる必要がありそうですね。

対談風景北城 私自身のキャリアを振り返ると、いくつかのステップがあったように思います。部下が10人、20人のころは「自分のチーム」であり、誰が何をしているのかを詳しく把握できました。100人になってもある程度までは見えますが、1000人となると組織経営が欠かせません。急成長するベンチャー企業の場合、マネジメントのスタイルを成長段階に合わせて変えていく必要があります。それができる起業家もいますが、そうでない起業家もいます。後者のタイプはM&Aなどのイグジット(出口)を考えてもいいし、別の誰かに任せてもいい。それも一つのやり方だと思います。

小林 若手のベンチャー経営者には、よく「勉強しろ」と言っています。そこで重要なのは勉強のタイミング。ある問題意識を持った時、それにフィットする経営書を読めば吸収力が一気に高まります。また、そもそも問題意識を持っていない場合もあるので、そんな時にはいろいろな経営者に会う機会を用意したりしています。すごい経営者と直接話をすれば、「自分の足りなさ」を実感できる。本人の行動も変わります。

起業を応援するエンジェル税制のメリット

北城 起業を志す若者が増えているのは心強い限りですが、この動きをさらに加速する必要があります。そこで重要なのが、人の意識や文化的な側面。教育の場を含めて、社会全体で事業に挑戦する人を褒め称える雰囲気を醸成しなければなりません。

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