IBMクラウドをWatsonと組み合わせて「ビジネスをShiftせよ! -三澤智光IBMクラウド事業本部長

この記事はIBM THINK Watsonに掲載された記事を転載したものです。
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NetflixやUBERといった先進的な会社のビジネスを支えるプラットフォームとして活躍し、注目を集めるクラウド・コンピューティング。近年は一般企業においてもクラウドの活用が広がりを見せている。さらに、クラウドはWatsonをはじめとするAIのテクノロジーを活用した新しいイノベーションを起こすためのプラットフォームでもある。三澤智光IBMクラウド事業本部長は、そのトレンドをこう話した。

「アーキテクチャーをうまく使い、既存の仕組みと新しい仕組みをハイブリッドにデザインすることでデジタル・イノベーションを起こしていく、という流れがここ数年で加速しているんじゃないかと思います」

しかし、クラウドには、既存のシステムからの移行が困難だというデメリットがあると言われてきた。

「一般的に事業会社のお客様は、今までのビジネスを支えている情報システムを持っています。それなのに、わざわざコストをかけてクラウドに移したほうがいいのかという疑問はありますよね。『今の仕組みをある程度温存したまま、新しい仕組みをクラウド上でどう作るのか?』そして『既存の仕組みと新しい仕組みをどうハイブリッドでデザインするのか?』というのが、一般的に求められている考え方ではないかと思っています」

既存の仕組みと新しいクラウド・ネイティブの仕組みをハイブリッドに存在させることはできるのか?

IBMのクラウドが得意とすることは、まさにその「ハイブリット」だ。

「そもそもIBMが大きくなった理由は、お客様を支える情報システムを提供し続けてきたからなんです。さらに新しいクラウドを活用した情報システムが必要になってきたときに、クラウドと従来のシステムの両方をきっちりお届けしていくことがIBMの一番得意としているところで、それが今の戦略でもあります」

基本的にアプリケーションは、3つのタイプに整理できる。1つ目は「変えなくてもいいアプリケーション」。2つ目は「新しい時代に向けて変えたほうがいいアプリケーション」。そして3つ目は「最初から新しく作っていくアプリケーション」だ。

IBMは、1つ目の「変えなくてもいいもの」に関しては、そのままオンプレミス(自社運用型システム)に残すという選択肢を顧客に提供する。例えば、バックエンドを支える勘定系のような仕組み。これをわざわざ書き換えてクラウドに移すと、安定性に問題が出てしまうからだ。クラウド移行の動機として「ハードウェアを保持したくない」という理由を挙げる顧客には、クラウド・コンピューティングの中でもIaaS(Infrastructure as a Service)と呼ばれる「IBM Bluemix Infrastructure」に既存システムを移行することを勧める。

2つ目の「新しい時代に向けて変えたほうがいいもの」に関しては、一度クラウドに上げる「Lift」を進めながら、必要なものはアーキテクチャーを「Shift」していく。3つ目の「新しく作るアプリケーション」は、最初からクラウドのアーキテクチャーを前提にデザインする。

こうした3つのアプリケーションのタイプ別に最適なソリューションを提供できることが、IBMの強みだ。

IBMは、Lift & Shiftの支援を得意とする。しかし、導入の際の「落とし穴」に気をつけるべきだと、三澤氏は話す。

「『変えなくていいもの』に関してですが、ハードウェアを保持したくないお客様に対しては、ハードウェアはお客様の資産にせずにオンプレミスのままクラウドに移行する。これが、いわゆるLiftの考え方ですが、一般的に、今のオンプレミスのアプリケーションのデザインは、実はクラウド・ネイティブ・アーキテクチャーのIaaSとの整合性があまりよくないんです」

オンプレミスのアーキテクチャー・デザインでは、インフラストラクチャーに非機能要件が組み込まれている。例えば、高可用性の設計やジョブ制御、運用管理などがそれだが、性能や信頼性を司る非機能要件は、特にミッション・クリティカルなアプリケーションになればなるほど重要になる。

「一般的なクラウドでは、基本的に非機能要件はインフラ部分、つまりIaaSでは担保されないんです。なので今のオンプレミスなアプリケーションをそのままクラウドにLiftすると、アプリケーションが不安定になることに加えて、コストをかけて安定させるために書き換えが発生するデメリットがあります」

だがIBMのクラウドは、これらのデメリットを乗り越えることができる。

「IBMのクラウドIaaSには、ベアメタルというサービスを用意しています。物理サーバーのように扱える仮想サーバーを提供することで、オンプレミスなインフラをそこに構成することが可能になります。そうすれば、これら非機能要件を、そのままクラウドにLiftすることが可能になります。つまり、安定性を損なわずに、無駄なコストも発生しない。安全なLiftを可能にする唯一のクラウド、と言ってもよいと思います」

顧客が真に求めるのは「クラウドの導入」ではなく「新しいイノベーションを起こすこと」

クラウドの活用へのモチベーションは何だろうか。導入のきっかけは「コスト削減が果たせるのではないか?」と考える人が多いからだという。

「確かにクラウド化すればハードウェアを持たなくてもよいのでコストが下がる場合もあります。けれども、逆にコストが増えてしまう事例も多く見受けられました。不安定になるとか書き換えが発生するような場合です。そこで『どういった仕組みをクラウド上に乗せるべきなのか』ということを入念に煮詰めることこそが、クラウド導入を成功させる鍵となります」

クラウドのプラットフォームでは、スピード感を持った処理が行え、ある程度のコスト削減にもつながる。これはどこのプラットフォームでも、ある程度は実現可能だという。しかし、顧客が真に求めるのは、単に「クラウドを導入すること」ではなく、「新しいイノベーションを起こすこと」だと三澤氏は強調する。クラウド移行は、その目的を見据えて行わなければならないのだ。

「ここ数年のクラウドの流れは、クラウド・コンピューティングの素晴らしいアーキテクチャーを企業のデジタル・イノベーションに役立てたい、このようなニーズが増えてきたと思います」

さまざまな企業やベンターがIaaS、PaaSといったサービスを提供する中、IBMのクラウドは移行しても性能を落とさず、さらにパフォーマンスを高められる点が抜きん出ている、と三澤氏は強調する。

「デジタル・イノベーションを起こしていくためには、プラットフォームにどのようなアプリケーションをデザインするかということが非常に重要です。そして、デジタル・イノベーションを起こすためのアプリケーションに求められるのは、結局のところ新しいテクノロジーなんです。これがIBMクラウドの他にない、最大の特長です」

IBMクラウドのメリットは、単にコスト削減を可能にし、スピード感を上げることだけではない。そこに、企業のデジタル・イノベーションを起こすさまざまな素材をプラスできる。つまり「新しいテクノロジー」を組み合わせるのだ。例えばWatsonに代表されるAIのプラットフォーム、ブロックチェーン、IoTの仕組み、ビデオ・ストリーミングや、全世界の天候データなどを、クラウドのプラットフォーム上で数多く取りそろえ、ビルトインすることが可能なのだ。

顧客は、IBMの提供するさまざまな新しいテクノロジーを組み合わせることで、自社がデジタル・イノベーションを起こすためのアプリケーションをデザインできるのだ。

三澤氏が「IBMクラウドが加速する『デジタル・イノベーション』」をテーマに語るビデオが日本IBMの動画配信メディアTHINK tvで公開されている。ぜひ併せてご覧いただきたい。


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