名作映画に見る人間とAIのいい関係?!

©2016 Twentieth Century Fox

この記事はIBM THINK Watsonに掲載された記事を転載したものです。
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舞台は、アメリカ南部のNASAラングレー研究所。人種差別が根強く残る1960年代、同研究所には仕事場を分離されながらも、天才的な数学能力を認められ、宇宙計画成功の一助となった黒人女性たちがいた。そんな彼女たちの活躍について実話を基に描いた作品が、9月29日(金)から日本でも公開される映画『ドリーム』だ。科学分野に関わる人はもちろん、すべての人に勇気を与える物語である。

物語の始まりは1961年。幼い頃から天才的な数学の学力を認められていたキャサリンは、エンジニア志望のメアリー、黒人女性たちで構成される「西計算グループ」リーダー格のドロシーらと共に、NASAラングレー研究所で計算手として働いていた。その能力を買われ、黒人女性として初めて宇宙特別研究本部に配属されたキャサリンは、人種や性別の分離政策に苦しみながらも、実力で次第に存在感を増していく――。

映画「ドリーム」とIBMの関わり

映画『ドリーム』には、1960年代初頭のIBMのコンピューターが登場する。それが、ロケットの軌道のような科学技術計算で用いられたメインフレーム・コンピューター「IBM 7090 DPS(Data Processing System)(作中通称IBM)」だ。現在のコンピューターと大きく異なる形状や操作方法を見て、驚きを覚える方も多いであろう。

このIBM 7090 DPSのNASAへの導入に伴い、人力による計算を担当していたウエスト・コンピューティング(西計算グループ)のリーダー格であるドロシー・ヴォーンは、新たな時代の到来を確信して、IBM 7090 DPSの操作方法とプログラミング言語「FORTRAN」を学び始める。

当時は、コンピューター利用の黎明期であり、当然ながらインターネットもホームページも存在していない。技術情報の入手方法は書籍やマニュアルに限られており、最先端のテクノロジーを理解し、使いこなすためには類稀なる努力が必要であったのは想像に難くないだろう。

新しいテクノロジーとの向き合いかた、有名作品ではどう描かれているか?

時代が異なるものの、映画『ドリーム』は、現代を生きる私たちにとっての教訓がちりばめられている。特に、新しいテクノロジーとの向き合い方という観点では、私たちに新鮮な気づきを与えるだろう。映画『ドリーム』の時代に計算手たちは、新たに導入された「コンピューター」に戸惑いながらも、使いこなす術を模索した。それはAIを使いこなすために模索する現代の私たちに非常に似た状況にある。

映画を切り口に考えてみると、AIという存在が相棒のように身体的、もしくは情緒的に人間をサポートする存在として描かれている作品も多い。一方で「2001年宇宙の旅」や「ターミネーター」や「マトリックス」などの著名なSF作品のように、AIは「人間の脅威」として描かれることもある。AIの実用化が進み、人間とAIとの協業に現実味が帯びてきたことが映画におけるAIの描かれ方も多様性を持ち始めてきたとも言えるだろう。そこで、人間とAIの良好な関係を描いた作品の一部を紹介しよう。

①『ベイマックス』

2014年に公開された、ご存知、ウォルト・ディズニー社によるアニメーション作品。未来の架空都市を舞台に、少年とロボットの活躍を描く。天才的な科学の才能を持つ主人公の少年は、飛び級で高校を卒業したことで目標を失い、自堕落な生活を送っていた。そんなある日、兄が開発していたケアロボット「ベイマックス」に出合ったことで、科学への情熱を取り戻した主人公だったが、唯一の肉親であった兄を不審な事故で亡くしてしまう。ショックのあまり心を閉ざしてしまった少年の前に、兄が与えた「傷ついた人の心と体を守る」という使命に従うベイマックスが姿を現す――。本作で登場するロボット「ベイマックス」は、主人公の友人であるとともに、心を支える重要なパートナーとして描かれ、その愛らしい動きや外見も話題となった。

②『アイアンマン』

2008年にシリーズ1作目が公開され、その後、さまざまな作品でも登場するマーベル・コミック原作の「アイアンマン」。エンタメ色が強い本作にも、主人公のパートナーとしてAIが登場する。「ジャービス(JARVIS)」と名付けられたそのAIは、アイアンマンこと主人公のトニー・スタークの相棒として、研究、仕事、そして戦闘に至るまで、あらゆる場面で情報提供や瞬時の分析などで主人公をサポートする。シリーズによっては敵に乗っ取られてしまうなどのシーンもあるが、それもご愛嬌。基本的にはスーパーヒーロー「アイアンマン」に、なくてはならない存在として描かれている。

③『her/世界でひとつの彼女』

2013年に公開された同作では、近未来のロサンゼルスを舞台に、中年男性の主人公と人工知能との恋愛模様を描いた。妻と別居し、悲嘆に暮れる日々を過ごしていた主人公は、目にした広告に興味を持ち、人工知能型OSを購入。パソコンから聞こえてくる魅力的な女性の声をしたAIは、主人公の日常生活や仕事のサポートだけでなく、精神面でも支えとして欠かせない存在となっていく――。結末では予想外の展開が待ち受けているが、注目したい点は主人公の精神面の変化かもしれない。彼はAIとの恋愛によって人間的に成長し、傷ついていた過去の自分とも正面から向き合えるようになっていく。まさに人間の可能性を広げる存在として、AIが重要な役割を担っている。

人間とAIが共存する社会へ

©2016 Twentieth Century Fox

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映画によってAIの描かれ方は多種多様だ。紹介した作品は一部に過ぎないものの、今後、人間とAIが歩むべき方向性を示唆している。

人間とAIが共存する社会において、重要なことは進化するテクノロジーを恐れ、拒絶するのではなく、仕組みを理解して使いこなすことなのではないだろうか。

映画「ドリーム」とIBMについて詳しくはこちら

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